2021 Fiscal Year Research-status Report
女性ホルモン類似物質による敗血症時の過活性化好中球機能制御についての検討
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20K09298
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
石川 倫子 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40566121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 岳人 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30772652)
小濱 圭祐 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50595171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好中球細胞外トラップ / 女性ホルモン類似物質 / エクオール / 敗血症 / 臓器障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症予後には性差が存在し、男性ホルモンは予後悪化に、女性ホルモンは予後改善に効果的である。本研究は女性ホルモン類似物質であるエクオールが過剰となった好中球機能を一時的に抑制し、敗血症における好中球起因の臓器障害を軽減するかを明らかにすることを目的として、臓器障害の一因となる好中球機能として好中球細胞外トラップ(Netrophil extracellular traps; NETs)に着目している。 本研究では①ヒト好中球のNETs産生におけるエクオールの効果、②性別(性ホルモン)がエクオールの効果に及ぼす影響、③エクオールによる敗血症病態でのNETs制御は可能か、について検討する予定であるが、2021年度は、②を目的として女性ホルモンがNETsに及ぼす影響をヒト好中球を用いて確認し、③を目的としてラット敗血症モデルにエクオールを投与することで生存率を改善するかを確認した。 結果、女性ホルモンはヒト好中球NETsをlipopolysaccharide(LPS)刺激下でエクオールと同様に抑制する結果を得た。また、エクオール添加や女性ホルモン添加が好中球の貪食能には影響を及ぼさない事、エクオールの効果機序として、エクオール添加によるNETs抑制にはPAD4の核内移行の変化が関連することを発見した。ラット敗血症モデルでは敗血症作成48時間後の生存率がコントロール群で30%程度のものをエクオール投与が60%程度まで改善する結果を得ており、これらの結果から、エクオールは女性ホルモンと同程度のNETs抑制能力を持つ一方で、貪食能などは下げず、好中球の機能を損なわない可能性があること、ラット敗血症の予後を改善する可能性があること、が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト好中球を用いた解析の他、ラットを用いた投与実験にも着手することができ、当初の予定通り順調に進行している。また、企業とも守秘義務提携を結んで今後の実験経過を検討する協力体制が出来ており、学会発表などは行わなかったが、研究としては順調であることから、概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はエクオール作用機序の同定を目指し、mRNA、蛋白などの解析を進める。動物実験における作用機序についても言及し、早期に論文作成、学会発表などの計画を立てて遂行していく。
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Causes of Carryover |
2021年度中に発注する予定であった試薬の入荷が遅れる等があり、次年度使用額が生じた。次年度以降に必要な試薬類の購入費用として使用する予定である。
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