2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09300
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中山 慎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60596443)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心肺停止 / 蘇生後脳症 / 脳浮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
心肺停止・蘇生後に生じる低酸素脳症や脳浮腫の薬物治療は確立されていない。申請者の先行研究(動物実験)ではHMG-CoA還元酵素阻害剤であるスタチンのうち脂溶性のタイプが脳障害を軽減した。その機序のひとつとしてスタチンがコレステロール生合成過程の中間代謝産物であるRhoキナーゼ(ROCK)を抑制したことが考えられた。ROCKは、脳と骨格筋に強く発現し血管攣縮、細胞増殖・遊走、アポトーシス誘導を制御する酵素である。本研究の目的は心肺停止・蘇生後のRhoキナーゼ阻害薬ファスジルが脳保護に働くかを検証した。 実験はマウス心停止モデルを用いた。イソフルラン全身麻酔下のマウス(C57BL/6、オス、体重20-30g)に気管挿管し人工呼吸器管理。右内頚静脈からPE-10カテーテルを挿入する。中心静脈からカリウムを注入し心停止を誘発する。心停止時間を7分とした。7分後、人工呼吸を再開、アドレナリン8μgを中心静脈から投与、1分間に300回の心臓マッサージを開始する。蘇生30分後にファスジルを静脈内投与した。脳と肺の水分量は蘇生24時間後に乾燥法を用いて測定した。 【結果】生存率はコントロール群とファスジル投与群で差はなかった。投薬群:ファスジル10mg投与群では蘇生24時間後の脳と肺の水分量はコントロール群と変化がなかった(脳:78.9±0.2% vs 78.8±0.1%、肺:80.4±0.3% vs 79.2±0.2%)。ファスジル2 0mg投与群では脳と肺の水分量は有意に減少した。(脳:78.2±0.2% vs 78.8±0.1%、肺:78.7±0.2% vs 79.2±0.2%)。 【結論】蘇生後のファスジル20mg/kg投与は脳浮腫、肺浮腫をコントロール群より減らした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験モデル継承のため、若手研究員が動物実験を行った。 手技の練習と安定した結果を得るまでに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度と同様にマウスを用いた心停止モデルを用いる。次年度は効果の得られた投与量ファスジル20mg/kgで実験を進め、サイトカインの測定、脳浮腫に関与する脳血液関門を形成するタンパクをウエスタンブロット法を用いて測定する予定である。
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Causes of Carryover |
マウス用の心電図を計上したが納期が遅れて次年度に引き落とされることになった。
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