2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09312
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
塩田 勝利 自治医科大学, 医学部, 教授 (40398516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 剛史 自治医科大学, 医学部, 助教 (20742844)
舩田 正彦 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 薬物依存研究部, 室長 (20299530)
米川 力 自治医科大学, 医学部, 教授 (50468336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トラマドール / セロトニン症候群 / オピオイド |
Outline of Annual Research Achievements |
トラマドールはSNRI(serotonin-noradrenaline reuptake-inhibitor)作用を有するオピオイド系薬剤であり、本邦では麻薬指定されず使用が容易であるためその使用は拡大している。その拡大に伴い、トラマドール中毒による死亡例や痙攣、セロトニン症候群等の重篤な副作用が急激に増加している。しかしその機序は不明で、確立された治療法も存在せず、対症療法が行われるのみである。そのためトラマドール中毒の作用機序の解明と治療法の確立が切望されている。 トラマドール中毒の機序解明のため、Wistar系雄ラットを用いて実験を行った。トラマドールの大量腹腔内投与はラットに体温上昇をもたらした。この体温上昇作用はトラマドールによるSNRI作用が考えられた。しかしオピオイド刺激作用も体温上昇作用が報告されているため、さらに機序を解明する詳細な実験が必要である。 臨床研究では研究者らはトラマドールにより引き起こされたセロトニン症候群の症例について学会誌に投稿し、トラマドール中毒についての歴史的経過、その発生機序、現在可能な治療法などを記載することで、トラマドール使用についての危険性を広く周知するように努めた。なお論文は受理されており、出版待ちである。 本年度も全国的なcovid-19流行の影響により動物実験を行うことが大きく制限された。そのため本年度もトラマドールやトラマドールと併用される他の依存性薬剤などの情報収集やこれまでの知見を論文化や学会発表などを行い、去年と同様知識の獲得やトラマドールや依存性薬剤の危険性の啓蒙を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度も全国的なCOVID-19流行により、実験が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Covid-19流行が収束し動物実験が通常通り可能となったら、速やかに実験を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により動物実験が停滞したため、次年度使用額が発生した。次年度使用額は全額動物実験に使用する予定である。
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