2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel strategy of circulatory management of septic shock with modulation of splanchnic hemodynamics.
Project/Area Number |
20K09317
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
鍬方 安行 関西医科大学, 医学部, 教授 (50273678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室谷 卓 関西医科大学, 医学部, 講師 (20528434)
池側 均 関西医科大学, 医学部, 准教授 (80379198)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | sepsis / endotoxin / fear odors / splanchnic circulation / circulatory shock |
Outline of Annual Research Achievements |
NO合成阻害剤の効果実証に大きな障壁をむかえ、未験の血管運動性生理活性物質を探索していたところ、動物の生得的な恐怖関連行動を誘発する人工臭気分子群として開発されたチアゾリン関連恐怖臭のひとつである2-methyl-2-thiazoline(2MT)が候補としてあがった。 2021年度までと同様のウサギLPSショックモデルを用い、マウスモデルで強い抗炎症作用をしめしたとされる2MT投与量(80mg volus i.v.)を用いて、対照、LPS単独投与群、2MT単独投与群、LPS+2MT同時投与群の4群間での血行動態変化、腸管血流変化を検討した。その結果、2MT単独投与の効果は投与直後~150分後まで持続する昇圧が中心で腸管血流にも個体の酸塩基平衡にも影響を与えなかった。すなわち、2MT 80mg i.v.の効果は組織循環に悪影響を与えない程度の昇圧であった。一方、LPS群は従来の知見どおり、低血圧および腸管循環系の病的血管抵抗減弱をともなう腸管粘膜虚血を惹起し、代謝性アシドーシスの進行がみられた。LPS+2MT群では、LPS単独でみられた平均動脈圧の低下が抑制され、またLPS投与による上腸間膜静脈血流の低下が早期に是正された。同時に、腸管粘膜血流の低下が抑制され、120分後より正常に復した。以上の結果から、ウサギLPSショックモデルにたいして、2MT 80mg単回静脈内投与は、上腸間膜静脈血流・腸管粘膜血流を維持しながら昇圧効果を有することが明らかとなった。現在敗血症ショックに汎用されるnorepinephrineをはじめとする血管収縮薬は昇圧効果と同時に腸管虚血を来すことが知られている。本研究は、敗血症ショックにたいして臓器血流を損なうことなく昇圧効果を有する心血管作動薬として、2MTの新たな可能性を示した。
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