2022 Fiscal Year Annual Research Report
siRNA結合ナノパーティクルを用いた膠芽腫に対する標的遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
20K09327
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
福井 直樹 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (30752167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上羽 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (40380323)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 幹細胞 / ナノパーティクル |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫は、長年の治療開発や集学的治療を以てしても予後不良の原発性脳腫瘍である。この腫瘍の治療成績の改善には革新的な治療法が求められる。本課題では、膠芽腫においてナノパーティクルを用いた遺伝治療法の確立を目指した。マウス神経膠腫モデルにおいて、これまでの研究において、膠芽腫幹細胞の細胞周期を制御するCD146を標的遺伝子とするsiRNAを結合した膠芽腫細胞ターゲティング可能なキトサンを主成分とする葉酸-ナノパーティクルの投与により高い治療効果が得られているがその腫瘍抑制メカニズムの詳細は不明である。CD146は間葉系幹細胞の遺伝子としても報告されているが、膠芽腫のMesenchymal(MES)タイプよりもProneural (PN)タイプで高頻度に発現していることを明らかにした。さらに、ゲノム編集を用いてCD146欠損細胞を作製し、PNタイプからMESタイプへ誘導する(PN-MES転換)とCD146欠損細胞細胞ではMESタイプへの転換が抑制されることが観察された。また、siRNAと抗体を用いたタンパクレベルの解析により、膠芽腫幹細胞においてCD146の下流にはHippo-YAP伝達経路が存在し、幹細胞性や増殖の制御に機能していることが見出された。これらの結果は、CD146はPNタイプのG2/M期に高発現し、MESタイプへの転換を制御する鍵となる分子であること、その抑制が造腫瘍性を著しく損ねることを示唆している。CD146は、膠芽腫において複数のがん形質に関わる機能を示し、治療標的として極めて有望な分子であると考えられる。
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