2020 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍免疫の再活性化を可能にする悪性グリオーマ分子標的治療薬の開発
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20K09333
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
高橋 寿明 北陸大学, 薬学部, 教授 (20363228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 明宏 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20593403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グリオーマ / 腫瘍免疫 / Oct-3/4 / TDO / IDO |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに山中因子の一つであるOct-3/4がグリオーマの様々な予後不良(腫瘍幹細胞性、浸潤、血管新生、薬剤耐性)に正の相関を示すことを見いだしてきた。本研究はOct-3/4の発現を抑制する化合物に加え、腫瘍免疫抑制に関わるTDO/IDOの発現をも抑制する「トリプル抑制化合物」を見出し、腫瘍免疫を再活性化することで悪性グリオーマ治療に対する「万能型」の低分子化合物を見出すことを目標としている。 令和2年度はOct-3/4、TDO、IDOの各遺伝子プロモーター下でルシフェラーゼを発現するヒト膠芽腫細胞株T98Gを樹立し、各細胞に対して金沢大学がん伸展研究所より供与を受けたFDA承認化合物ライブラリー(640種)を用いたスクリーニングを行った。 その結果、Oct-3/4の発現を抑制(ルシフェラーゼ発光抑制率が30%以上)する化合物としてD2受容体遮断薬(9)、H1受容体遮断薬(6)、選択的エストロゲン受容体調節薬(3)、レチノイド関連化合物(2)、抗悪性腫瘍薬(6)、Ca拮抗薬(3)を含む40種類の化合物がヒットした(数字は化合物数)。TDOの発現を抑制する化合物としてD2受容体遮断薬(16)、H1受容体拮抗薬(10)、スタチン系薬(7)、抗悪性腫瘍薬(16)、Ca拮抗薬(17)を含む220種類の化合物がヒットした。IDOの発現を抑制する化合物としてD2受容体遮断薬(7)、H1受容体遮断薬(5)、抗真菌薬(6)スタチン系薬(5)、Ca拮抗薬(14)を含む97種類の化合物がヒットした。このうち、3つのスクリーニングで共通していた化合物はD2受容体遮断薬(6)、H1受容体遮断薬(3)、抗悪性腫瘍薬(3)、Ca拮抗薬(3)を含む24種類であった。なお、T98G細胞にはヒット化合物の標的受容体が発現していることも確認し、これら化合物が標的受容体を介して作用しているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度はOct-3/4、TDO、IDOの各遺伝子プロモーター下でルシフェラーゼを発現するヒト膠芽腫T98G細胞を樹立するとともに、スクリーニングのアッセイ系を確立した。そして、これら細胞に対してFDA承認薬物の化合物ライブラリー(640種)を添加し、ルシフェラーゼアッセイによる一次スクリーニングが完了した。各遺伝子発現を抑制する化合物のうち、3つのアッセイで共通する化合物として24種類を得た。コロナ禍における研究環境であったため、多くの制約があったものの、令和2年度に一次スクリーニングが完了できたという点では、おおむね順調に進んでいると思われる
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Strategy for Future Research Activity |
一次スクリーニングで得られた24種類のヒット化合物について、Oct-3/4、TDO、IDOのmRNA発現や蛋白発現の抑制、グリオーマ細胞の機能抑制などを指標に絞り込み(ニ次スクリーニング)を実施していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍ということもあり出張を取りやめたことで旅費の支出がなかった。一部を物品費として使用したが大きな支出でなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は主として物品費として使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Activated leukocyte cell adhesion molecule expression correlates with the WNT subgroup in medulloblastoma and is involved in regulating tumor cell proliferation and invasion2020
Author(s)
Achiha T, Kijima N, Kodama Y, Kagawa N, Kinoshita, Fujimoto Y, Nonaka M, Fukai J, Inoue A, Nishida N, Yamanaka T, Harada A, Mori K, Tsuyuguchi N, Uda T, Ishibashi K, Tomogane Y, Sakamoto D, Shofuda T, Yoshioka E, Kanematsu D, Mano M, Luu B, Taylor D, Kanemura Y, Kishima H.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 15
Pages: e0243272
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Hypoxia-regulated expression of CD44 and osteopontin can change the phenotype of glioma stem-like cells from highly invasive to less invasive/proliferative tumors in glioblastoma2020
Author(s)
Nishikawa M, Inoue A, Ohnishi T, Yano H, Ozaki S, Kanemura Y, Matsumoto S, Suehiro S, Ohtsuka Y, Kohno S, Ohue S, Shigekawa S, Watanabe H, Kitazawa R, Tanaka J, Kunieda T.
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Journal Title
Cancer Med.
Volume: 10
Pages: 2013-2025
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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