2023 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍免疫の再活性化を可能にする悪性グリオーマ分子標的治療薬の開発
Project/Area Number |
20K09333
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
高橋 寿明 北陸大学, 薬学部, 教授 (20363228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 明宏 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20593403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グリオーマ / 腫瘍免疫 / Oct-3/4 / AMPK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は我々がグリオーマ悪性化のマスター分子と考えるOct-3/4の発現を抑制する化合物でありながら抗腫瘍免疫に関わるトリプトファン代謝酵素の発現をも抑制する「トリプル抑制化合物」を新規グリオーマ治療薬として見出すことである。これまでにOct-3/4、TDO、IDOの各遺伝子プロモーター下でルシフェラーゼを発現するヒト膠芽腫T98G細胞を用いた化合物ライブラリー(640種)スクリーニングにより、候補化合物24種(D2受容体遮断薬(6)、H1受容体遮断薬(3)、抗悪性腫瘍薬(3)、Ca拮抗薬(3)を含む24種)を得ていた。二次スクリーニングにはグリオーマ細胞の同種移植モデルの作製が可能なマウスグリオーマ細胞であるGL261細胞を用いて二次スクリーニングを実施した。 細胞増殖能について検討したところ、化合物F(仮名)は他の化合物に比べて細胞傷害性が低いものの、cdc2/サイクリンB複合体の活性化を抑制ことで、G2/M期の進行を抑制していることが明らかとなった。また、化合物Fは、正常アストロサイトの細胞増殖は抑制しなかったことから、化合物FによるGL261細胞の増殖抑制効果はグリオーマに特異的な可能性が高い。そこで、C57BL/6マウスの脳内にGL261細胞を移植し、化合物Fの経口投与実験を行ったところ、グリオーマの増殖抑制が認められた。化合物Fはエネルギーセンサーとして知られているAMPKに結合する活性化剤として機能している可能性をドッキングシミュレーション解析から明らかにしている。各種癌細胞においてAMPKの発現低下が癌悪性化につながっていることが報告されており、今後、グリオーマ悪性化阻止がAMPK活性化を介しているのかなど、詳細な検討をしていきたい。
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