2020 Fiscal Year Research-status Report
逆行性顔面神経細胞変性の抑制機構の解明―変性神経の外科的治療をめざしてー
Project/Area Number |
20K09335
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
長谷川 光広 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70218460)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | facial nerve / facial nucleus / retrograde degeneration / neuroprotection / regeneration |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経軸索損傷後には再生機構がただちに稼働し、機能回復が期待できる。まず末梢側のワーラー変性に続き、末梢性グリア細胞が活発に再生活動にはいる。これにはシュワン細胞遊走促進作用をもつガレクチン-1(Fukaya K, Hasegawa M et al, JNEN 2003)、Schwann細胞間の接着にはE-cadherin(Hasegawa-M et al, JNEN 1996)等の因子が関与する。一方で中枢神経の損傷時にはWaller変性により直ちに傍絞輪部の中枢性グリアの細胞突起の絞輪部での変化が始まり(Hasegawa M et al, Brain Res 198))、遠位側軸索が変性していくが、この後末梢性損傷では見られない中枢側の神経細胞体に向って起こる逆行性変性により急激に神経細胞が脱落・消失してしまう。神経細胞逆行性変性の程度は、個体の成熟度や軸索の切断部位によって大きく異なる特徴がある。幼弱ラットでは末梢軸索損傷であっても逆行性変性が誘発され、神経細胞は死に至る。一方、成熟ラットでは損傷部位が中枢での損傷であるほど逆行性変性は強い。我々が確立した脳槽内顔面神経軸索束avulsionモデルはmildな変性モデルとして活用でき、この変性抑制にα2δ選択性に高い親和性を示すCa-blocker(pregabalin、Kavoussi R, Eur Neuropsychopharmacol. 2006)がこの顔面神経核内神経生存促進作用を持つこと、またこの作用には活性化マイクログリアが関与している可能性があることを見いだした(Moriya S, Hasegawa M et al, JNSci 2077)。neural stem/progenitor cellの生存や脳虚血再灌流障害に効果を示す免疫抑制剤FK506(1mg/kg/day)を損傷後7日間連続皮下投与することで、2週で50%,4週で30%の保護効果を示すモデルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
脳槽内顔面神経軸索束avulsionモデルを作成し、コンスタントに脳幹内顔面神経核の逆行性変性を引き起こすことに成功している。 免疫抑制剤であるFK506(1mg/kg/day)を損傷後7日間連続皮下投与し、コントロールモデル(sham)と比較検討した。統計学的に変性急性期の逆行性顔面神経核神経細胞の変性割合が抑えられることを確認した。 現在、マクロファージ、マイクログリア、アストログリアの反応の詳細を、コントロール群、Ca拮抗剤投与モデルと比較検討しているが、免疫抑制剤の効果が、時間的なものなのかその他の因子が関わるものなのかが明らかにできない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
貪食細胞の浸潤の有無、周囲組織との反応、顔面神経核周辺のmicrogliaをOX-42で、macrophageをED-1、astrocyteをGFAPで免疫組織化学的に検討する。今回、VEGFとその受容体であるFlk-1の発現と細胞変性の関与、さらにはVEGFの発現とその受容体であるFlk-1にも併せて注目する計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症によって実験動物等の供給が遅れていたことにより次年度使用額が生じた。
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