2021 Fiscal Year Research-status Report
頸動脈狭窄症における局所的乱流と脳梗塞発症リスクに関する研究
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20K09346
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 秀謙 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90345976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 頸動脈狭窄症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、不整な形状の頸動脈内腔の血流は複雑であると仮定し、血流の構造複雑性および時間依存性ゆらぎの定量化に関する新たなパラメーターを開発し、不整な形状を数値流体力学的に客観的に定量化することで、不整な形状の頸動脈内腔に起因する頸動脈狭窄症の脳梗塞発症リスク評価が客観的に可能になるという仮説に基づき実施している。さらに、既知の脳梗塞の危険因子や、現在使用されている脳梗塞予防や生活習慣病の管理を目的とした治療薬がこれらのパラメーターにどのような影響を与えるか検討することを目的としている。3-matic 7.0と呼ばれるソフトで頸動脈分岐部の理想モデル、頸動脈狭窄症モデル、複雑な形状の頸動脈狭窄症として潰瘍形成モデルを作成し、各モデルの頸動脈狭窄部あるいはそれに準じる部位における血流速度の三次元流線を可視化した。複雑な三次元血流の定量化を可能とする新しいパラメーターとして暫定的に、時間依存性のゆらぎ oscillatory velocity index (OVI)、ベクトルに沿った速度勾配flow velocity gradient (FVG)、速度勾配ベクトルの時間依存性ゆらぎ fluctuation FVG index (FFI)の計算式を作成したので、これらの新しいパラメーターが形態不整に伴う血流の複雑性を定量可能か、より形態が複雑な頸動脈狭窄症モデルで検証した。更に、これらの新規パラメーターが頸動脈狭窄症の脳梗塞発症や、狭窄の進行、潰瘍形成などのリスクと関連するか、現在までに蓄積した頸動脈狭窄症データベースで、後方視的に従来のパラメーターと比較検討した。また、糖尿病や脂質異常症、高血圧症などに対する投薬によるコントロール状況が頸動脈狭窄症の潰瘍形成や進展具合を修飾するか、これらの新規パラメーターを用いて検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、研究成果が得られつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も基本的に当初の計画通り、実施する予定である。
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Causes of Carryover |
理由):動物実験において動物購入費用及び分子生物学関連費用が当初の計画よりも少なく済んだため。また新型コロナ肺炎のため海外旅費や国内旅費の一部が不要になったため。 使用計画):次年度に行う動物実験やデータベース構築に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)