2021 Fiscal Year Research-status Report
髄液及び脳からの老廃物の排泄の改善による認知症発症の予防
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20K09355
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 教授 (60200177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 ちひろ 順天堂大学, 医学部, 助教 (40837754)
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 正常圧水頭症 / アルツハイマー病 / 上衣線毛 / βアミロイド / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、微弱な蛍光を超高感度冷却CCDカメラで捉え、定量化できるin vivo イメージングシステム(IVIS)を用いて、蛍光物質の脳からのクリアランスを測定する方法を確立し、脳の排泄機構を明らかにした。正常圧水頭症にアルツハイマー病の病理所見が高頻度に認められることから、両疾患には老廃物質排泄機構の共通する障害が示唆されている。老廃物質の脳からの排泄の障害が、認知症の進行に寄与することが推定されているが、脳内老廃物質排泄機構における上衣線毛運動の寄与については検証されていない。本年度は、線毛運動障害による正常水頭症のモデルマウス(Dnah14ノックアウトマウス)と大脳皮質及び海馬にβアミロイドの過剰蓄積をきたすアルツハイマー病のモデルマウス(APPノックインマウス)を用い、APPノックインマウスの受精卵に、ゲノム編集を用いて、アルツハイマー病理を合併する正常圧水頭症モデルマウスであるDnah14ノックアウト/ APPノックインマウスの作成に成功した。生後16週齢時点において、APPノックインマウスでは大脳皮質及び海馬でのβアミロイドの沈着は僅かであるが、Dnah14ノックアウト/ APPノックインマウスでは、大脳皮質及び海馬での多量のβアミロイドの沈着と学習障害を認めた。このことは、脳室上衣線毛の運動障害がβアミロイド脳からの排泄を障害していることを意味している。上衣線毛運動はアミロイドのみならず他の脳の老廃物の排泄にも関与していると考えられ、認知症の進行に寄与していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画通り、アルツハイマー病モデルマウスで大脳皮質及び海馬にアミロイドの過剰蓄積をきたすAPPノックイン(APP-KI)マウスを正常圧水頭症モデルマウスで脳室上衣線毛の運動障害のあるDNAH-14ノックアウト(DNAH14-KO)マウスと交配させ、二重編集したDNAH14-KO/APP-KIマウスの作成に成功した。この二重編集モデルマウスでは、APP-KIマウスと比較し、生後16週齢時点において大脳皮質及び海馬のアミロイド沈着の増加を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳内の老廃物質排泄機構における脳室線毛運動の生理的意義を解明すべく、脳室から脳実質へ吸収されうる蛍光色素を注入し、髄液および脳実質それぞれでの蛍光量を測定し評価する。また、線毛運動を活発化させる薬物の投与により、物質排泄遅延が改善され得るかを評価し、認知症に対する新たな治療法確立の一助としたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は国際学会が延期となり、次年度は国際学会会の参加費及び旅費等の使用が増えること、成果を英文論文として、国際誌に掲載するため。
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