2022 Fiscal Year Annual Research Report
髄液及び脳からの老廃物の排泄の改善による認知症発症の予防
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20K09355
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 教授 (60200177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 ちひろ 順天堂大学, 医学部, 助教 (40837754)
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 正常圧水頭症 / アルツハイマー病 / 上衣線毛 / βアミロイド / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
理化学研究所の西道グループはAPPを過剰発現させない新規ADモデルマウスとして、APP家族性変異のSwedish変異(NL)とIberian変異(L)をノックイン手法(knockin:KI)により導入したAPPNL-FKIマウスを開発した。APPNL-FKIマウスは、APPの発現量とAPP断片が野生型と同等であり、AD患者と同様のAβ種が蓄積する病理所見を呈する。更にAPPNL-FKIマウスにArctic変異(G)を加えたAPPNL-G-FKIマウスを創出した。これらAPPKIマウスは、APP過剰発現マウスに見られる気性の荒さや原因不明の突然死も起こさない。また、神経炎症やシナプスの脱落、中老齢から学習能の低下も呈する。一方、神経原線維変化から神経細胞死等の病理形成は認めない。ノックインマウスはホモ接合体の使用が可能であり、また、単一のAPP遺伝子への変異導入であるため、他の遺伝子改変マウスとの交配も容易である。我々はDnah14KOマウスとAPPNL-G-FKIマウスを用い、APPNL-G-FKIマウスの受精卵に、ゲノム編集を用いて、アルツハイマー病理を合併する正常圧水頭症モデルマウスであるDnah14KO/ APPNL-G-FKIマウスの作成に成功した。生後8週齢時点において、APPNL-G-FKIマウスでは大脳皮質及び海馬でのAβの沈着は僅かであるが、Dnah14KO/ APPNL-G-FKIマウスでは、大脳皮質及び海馬での多量のAβの沈着と学習障害を認めた。このことは、脳室上衣線毛の運動障害により、脳からのAβの排泄が障害されていることを意味している。上衣線毛運動はAβのみならず他の脳の老廃物の排泄にも関与していると考えられ、認知症の進行に寄与していることが示唆される
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