2021 Fiscal Year Research-status Report
ガンマ波規則性定量化・動的解析によるてんかん病変部・ネットワーク描出法の開発
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20K09356
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 洋輔 昭和大学, 医学部, 講師 (70594349)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / ガンマ波規則性 / サンプルエントロピー / てんかん外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な脳病変、今年度は特に器質的異常を認めない側頭葉てんかん患者の頭皮脳波、256チャネル高密度脳波、頭蓋内皮質脳波のデータを解析対象とした。任意の周波数規則性をエントロピー値として定量化できるサンプルエントロピー法を適用して、ガンマ波規則性をエントロピー値として算出し、ガンマ波規則性が有意に高い部をてんかん焦点と定義した。また、動的解析によりてんかん焦点と連動してガンマ波規則性上昇を認める部位との間にてんかんネットワークを描出した。さらに詳細な統計学的解析である統計諸量、ヒストグラム、正規性検定(シャピロ・ウィルク検定)、異常エントロピー発現継続時間、電極間相関解析、電極間ネットワーク解析、Sweep number・Channel number・Entropyの3D表示等を行うことで、てんかん焦点およびネットワーク検出法をほぼ確立することができた。これらによって示されたてんかん焦点およびてんかんネットワークを切除・切断することでてんかん発作の軽減または治癒という術後転帰が得られることが示されつつある。てんかん発生メカニズムには、介在ニューロンを主体とする過同期活動が深く関与し、ガンマ波規則性はその活動を検出できている可能性が高いことが示された。従来の脳波評価法と比べて、ガンマ波規則性解析を用いるとてんかん焦点が局所化できることが示されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度に、詳細な統計学的解析、即ち、統計諸量、ヒストグラム、正規性検定(シャピロ・ウィルク検定)、異常エントロピー発現継続時間、電極間相関解析、電極間ネットワーク解析、Sweep number・Channel number・Entropyの3D表示等を行う拡張プログラムを導入できたことで、てんかん焦点およびネットワーク検出法をほぼ確立することができたために、当初の計画以上に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はAI活用による正確で迅速なてんかん焦点およびネットワーク診断補助ツールの開発を考えており、研究進展をさらに加速させたい。
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Causes of Carryover |
2021年度は、大規模な脳波データにおけるスイープ特性解析・規定処理・個別処理が容易となったことで可能となったことで更なるプログラム拡張の必要がなくなったために、また、コロナ事情により出張が見込めず旅費に充てる予定であった経費などが未使用であったために、残金132万円が生じた。次年度はAI活用のための更なる拡張プログラム開発費として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)