2020 Fiscal Year Research-status Report
先端巨大症における成長ホルモン奇異性上昇の生物学的意義;反応振幅の度数分布から
Project/Area Number |
20K09358
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
中川 淳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70262574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 修 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40211362)
塩谷 晃広 金沢医科大学, 医学部, 助教 (60747484)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 先端巨大症 / 成長ホルモン産生腺腫 / 経口糖負荷試験 / 奇異性上昇 / 統計学的分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
先端巨大症の一部で認められる経口糖負荷試験(oGTT)時の成長ホルモン(GH)奇異性上昇が,原因となるGH産生腺腫でのホルモン受容体発現や治療薬の効果など,その他の特性と密接に関連することが報告されている。しかし,GH奇異性上昇の判定に一定の基準はない。本研究は,oGTT時のGH反応パターンそのものを統計的に扱うことで,その度数分布が内包しているはずの生物学的特性に基づきGH奇異性上昇の判定基準を作成,その基準の有用性をGH産生腺腫の具体的な腫瘍特性と対応付けて検証するものである。 これまでに,先端巨大症46例のデータの検討より,oGTT時GHの負荷前値から(抑制・奇異性上昇を問わず)負荷後最も大きく変化した底値または頂値の前値に対する比は,対数変換により90%未満・90%以上200%未満・200%以上の3峰性を示した。各種腫瘍特性のうち,少なくともソマトスタチン誘導体オクトレオチドによるGHの最大抑制率は,従来の奇異性上昇有無による2群分類に比して,GH反応振幅の度数分布に基づく3群分類の方が有意差を認めている。こうした腫瘍の生物学的特性がより多く関連することが,その分類自体が生物学的特性に基づいていることの根拠となるとの考えのもと,一般臨床像に加え,病理組織所見,遺伝子発現等に関するデータを収集している。 今後最終的には,各種腫瘍特性がいかなる経路を介して相互に関連しているかを網羅的遺伝子解析により解明することまで行い,多くの特性を反映するGH産生腺腫の亜型分類を確立して治療方針決定等に資することを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では,新規症例として例年の1年間に期待できる4~5例を新たに繰り入れることを予定していたが,昨今のコロナ禍の影響で新規症例数が予想をはるかに下回り,各種腫瘍特性の群間比較の時点で結果を保留せざるを得ない状況となっている。 また,コロナ禍により,診療や教育に関する予想外のエフォートが増え,研究にあてる時間が減少していることも,進捗の遅れの原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規症例の繰り入れによる症例数追加に関しては,今しばらくは追加症例を期待するつもりである。 現在収集中の一般臨床像,画像検査による腫瘍サイズや進展・浸潤性,免疫組織化学による他ホルモン同時産生性・CAM5.2染色・MIB-1 index・ソマトスタチン受容体およびドパミンD2受容体の発言,オクトレオチドおよびドパミン作動薬負荷試験に対する反応性,等につき,今後もデータ集積を続ける。 腫瘍組織における遺伝子発現に関する検討については,mRNAの抽出よりcDNA合成しストックを増やしている。Real-time PCRは,できればサンプルが揃ってから一斉に行いたいところであるが,一旦は第2年度の適切な時期に行う必要があると考えている。 網羅的遺伝子解析には,上記real-time PCRの結果を参考に,各群の特性を顕著に示すとともに,良質なmRNAを抽出し得たサンプルを選択して行う予定である。
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Research Products
(3 results)