2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of NOTCH and PROP1 as new therapeutic targets in high-risk pituitary adenomas
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20K09360
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Research Institution | Research Institute, Shiga Medical Center |
Principal Investigator |
北条 雅人 滋賀県立総合病院(研究所), その他部局等, 科長 (60372588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷垣 健二 滋賀県立総合病院(研究所), 神経病態研究部門, 専門研究員 (70362473)
丹治 正大 京都大学, 医学研究科, 助教 (50766657)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PROP1 / NOTCH / HES / NOTCH阻害薬 / 下垂体腺腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
下垂体腺腫の中には増殖が速く浸潤性で難治性の場合があり、それに対する有効な治療法は確立されていない。海外ではテモゾロミドでの治療が推奨されているが、効果は十分とは言い難く、新たな治療法の開発が期待されている。PROP1は、下垂体発生の過程で最初に発現する下垂体に特異的な転写因子である。我々はこれまでに、PROP1が分化度の低い(すなわち難治性の)腺腫に発現していることを示してきた。一方、PROP1の発現は、NOTCH-HES経路との関連性が報告されている。NOTCHに関しては阻害薬の研究が進んでおり、PROP1を直接治療のターゲットとするよりも、NOTCHをターゲットとして新規治療法を研究する方が、成果がえられやすいと考えられる。 本研究では、下垂体腺腫においてNOTCHとPROP1の関係性を証明すること、NOTCH阻害薬を用いた難治性下垂体腺腫の治療法の開発すること、テモゾロミドとの併用療法を開発することを目的とする。 当該年度、下垂体腺腫の細胞の初代培養のための準備を行った。まず、細胞株ArT-20を入手し、培養を行い、実験環境を整備した。引き続き、実際の手術標本から初代培養を行い、細胞株を樹立するための準備を行った。 平行して、樹立した培養細胞にNOTCHの阻害薬(γセクレターゼ阻害薬)を投与し、その効果を解析するための実験の環境整備を行った。まず、γセクレターゼ阻害薬としてDAPTをマウスに投与し、下垂体を採取し、免疫染色を行い、その影響を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度には、下垂体腺腫の手術標本から腫瘍細胞を採取して培養し、細胞株を樹立する実験系を準備することができた。まず、下垂体腫瘍の培養細胞株Art-20を用いて細胞培養を行い、実験を進めるシステムを整えることができた。 この実験と平行して、樹立した培養細胞にNOTCHの阻害薬(γセクレターゼ阻害薬)を投与し、その効果を解析する実験系を準備することができた。γセクレターゼ阻害薬として、DAPTを用い、マウスに投与したのちに下垂体を採取し、免疫染色を行い、下垂体への影響を解析した。さらに、Notchノックアウトマウスを用いて下垂体を解析し、阻害楽と同様のフェノタイプであることを確認できた。 以上のように、おおむね順調に研究は進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)下垂体腺腫の細胞を初代培養し、その細胞株でPROP1をノックダウンして解析する。レンチウィルスshRNAによるPROP1のノックダウンを行い、NOTCHの発現変化を免疫染色とreal time RT-PCRで解析する。次に、NOTCHをノックダウンして解析する。レンチウィルスshRNAによるNOTCH1およびNOTCH2のノックダウンを行い、PROP1の発現変化を免疫染色とreal time RT-PCRで解析する。 2)樹立した培養細胞にNOTCHの阻害薬(γセクレターゼ阻害薬)を投与し、その効果を解析する。γセクレターゼ阻害薬として、DAPT (20μM), RO4929097 (10μM)を使用する。NOTCH阻害薬に、テモゾロミド併用し、その効果を解析する。NOTCH阻害薬とテモゾロミド(5μM)を投与し、細胞の増殖能を解析する。 3)Nude mouseの皮下に樹立した培養細胞を移植し、難治性下垂体腺腫の動物モデルを作成する。作成した動物モデルでのNOTCH阻害薬およびテモゾロミドの抗腫瘍効果の解析。上記動物モデルに、NOTCH阻害薬及びテモゾロミド(3 mg/kg)を5日間腹腔投与する。その後、腫瘍を摘出し、抗腫瘍効果を解析する。
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Causes of Carryover |
当該年度に行った実験はすでに研究室で保有している機材、試薬等を使用することが多く、新たに購入する必要性が低かった。このため、予定していたよりも実際の支出額が少なくなり、次年度使用額が発生した。次年度に予定している実験では、高額の試薬等を新たに多数購入して使用する必要があり、その購入のために当該年度の残額を使用する予定である。当該年度の残額は、次年度の研究に必要な物品購入で全て使用することが見込まれる。
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