2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel direct reprogramming method realizing safe and highly efficient induction
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20K09370
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 徹 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60644408)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / ダイレクトリプログラミング / iN細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまで培ってきたダイレクトリプログラミング技術を脳梗塞のみならず神経変性疾患など多様な神経疾患への治療応用へ展開することが目的である。計画している具体的な研究項目は、① 低侵襲な経静脈的投与による脳内への遺伝子導入技術を確立し、その治療効果を実証する ② 3つの異なる遺伝子を1つのウイルスベクターで遺伝子導入を可能とするポリシストロニックベクターの構築と利用 の2つである。
2020年度はまず①を進めるためにマウスの血液脳関門(BBB)を高効率に透過できる性質を持つAAVベクターAAV-PHP.eB を用いた遺伝子導入技術を樹立するため以下の実験を行った。まず2つの異なるAAVウイルス(AAV(PHPeB)-pGFAP-mCherry、AAV(PHPeB)-pGFAP-EGFP)を作成した。このAAVウイルスは、GFAPプロモーター下で発現するため、マウス脳内アストロサイトでmCherryもしくはEGFPの蛍光蛋白を発現することを想定している。このAAVウイルスが静注投与で脳内での発現が起こせるかを確認するために、前述のAAVウイルスベクターの作成ならびに精製を行った上で、10週齢のマウスに尾静注投与を行い、3週間後にSacrificeして病理学的検討を行った。その結果AAV(PHPeB)-pGFAP-EGFPの発現は弱かったものの、AAV(PHPeB)-pGFAP-mCherryは嗅球~全脳にかけてmCherryの発現を認めた。また、免疫組織学的検討を行い、mCherryの発現が脳内のどのタイプの細胞に発現しているか検討した結果、、GFAP陽性アストロサイトでのみmCheeryの発現を認め、アストロサイトに限局した発現を得られていることを確認した。以上の結果から、① 低侵襲な経静脈的投与による脳内への遺伝子導入技術をほぼ確立できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に① 低侵襲な経静脈的投与による脳内への遺伝子導入技術を確立出来てきており、今後治療効果の検討を進める準備が整ってきているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は脳虚血モデルにこのAAVベクターを尾静注投与し、その治療効果を評価する予定である。またこれと並行する形で、② 3つの異なる遺伝子を1つのウイルスベクターで遺伝子導入を可能とするポリシストロニックベクターの構築と利用をすすめる予定としている。
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Causes of Carryover |
当初の予定より動物実験の使用数が少なかったため、次年度使用額が生じた。しかしながら2021年度には脳梗塞モデルを含む動物実験を行う予定であり、使用額が増える見込みである。
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