2022 Fiscal Year Annual Research Report
性差関連因子の解析による膠芽腫の発生や治療抵抗性に関わる新たな経路の同定
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20K09372
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上羽 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00314203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 俊男 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (40380323)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / X染色体不活化 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性膠芽腫患者の組織から分離培養した腫瘍幹細胞において、ゲノム編集を用いたX染色体の脱落を試みた。X染色体上に存在する膠芽腫や膵癌に共通な必須遺伝子をin silicoで探索し、スコアの高い5遺伝子を同定した。この遺伝子に対するgRNAを腫瘍幹細胞にトランスフェクションし、X染色体のセントロメア特異的プローブを用いたFISH法によりX染色体を切断することによる染色体の脱落頻度を算出した。今回、用いた細胞とその他の2つの女性患者由来の腫瘍幹細胞は、X染色体がトリソミーであることが確認された。腫瘍幹細胞における、これらのgRNAによるゲノム編集は、その他の細胞で報告されているものと同程度の効率であることが観察された。必須遺伝子に対するgRNAをそれぞれ1つまたは3つ同時にトランスフェクションした場合、X染色体の有意な脱落は観察されなかった。しかしながら、これらの遺伝子に対する5つのgRNAを同時にトランスフェクションすると、X染色体が1本に減少している細胞が一定頻度存在することが観察された。さらに、この細胞のクローニングとアンドロゲン受容体遺伝子内の多型マーカーを検出するPCR法とX染色体特異的FISH法によるスクリーニングにより、X染色体が2本に減少している細胞を分離することが出来た。現在、この細胞に対してゲノム編集を再度行いX染色体を1本含む、細胞の分離が進行中である。これらの結果は、膠芽腫幹細胞において、gRNAを用いたゲノム編集でX染色体の脱落を誘導することが可能であることを示している。
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