2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of new treatment strategies for glioblastoma focusing on the interaction with oligodendrocytes and neurons
Project/Area Number |
20K09374
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
秀 拓一郎 北里大学, 医学部, 准教授 (40421820)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隈部 俊宏 北里大学, 医学部, 教授 (10250747)
犬飼 円 北里大学, 医学部, 助教 (10525695)
柴原 一陽 北里大学, 医学部, 講師 (30791016)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 膠芽腫 / オリゴデンドロサイト / ニューロン / Border Niche / 脳幹 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫の遺伝子解析から分類は進んだが、有効な分子標的治療薬の開発に至っていない。本研究の目的は腫瘍細胞だけを標的とするのではなく「正常細胞との相互作用の視点から、 膠芽腫の再発を抑え、膠芽腫患者の予後とQOLを改善する新規治療法の開発」である。 造影MRIでの増強領域が完全に摘出できた膠芽腫における検討で、自験例では87%で摘出腔周囲白質から再発を認めた。これは膠芽腫幹細胞や膠芽腫ニッチが摘出腔周囲白質 に残存していることを示唆する。申請者の腫瘍-脳境界領域の微小環境に注目した研究から、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)とマクロファージ/マイクロ グリアが微小環境Border nicheを構築し、膠芽腫細胞に幹細胞様性質と治療抵抗性を誘導することを見出した[Hide et al., EBioMed 2018]。特にOPCが重要と考えglioma-associated oligodendrocyte (GAO)の機能に注目し研究を継続している。本研究では、治療抵抗性と再発のメカニズムを明らかにし新規治療法の開発を目指すため、Border nicheにおける膠芽腫細胞と正常細胞との相互作用を詳細に検討している。膠芽腫細胞-OPC-ニューロンの相互作用の視点からから、これまでにはない新規膠芽腫治療法の開発を目指す。膠芽腫患者剖検脳組織を解析することで再発部だけでなく非再発部における膠芽腫細胞と正常細胞との相互作用を解析し比較検討する。現在剖検脳を用いた免疫組織学的検討を行っているが、過固定や死亡直前の浮腫や低酸素による組織変性の問題もあり免疫染色は必ずしも良好な結果は得られていない。現在抗体の選択や切り出しのタイミングなど工夫して研究を行っており、比較的解剖学的構造が保たれた脳幹部分を検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般的に手術による摘出組織では腫瘍本体部分の摘出が主体であり、境界部分を含んだ十分な組織の摘出は行われない。そこで、腫瘍境界部を含む摘出組織と、剖検脳を用いた免疫組織染色を用いた検討を行っている。Olig2は膠芽腫患者剖検脳の解析においても、免疫染色は比較的安定し核が強く染色される。ニューロンのマーカーであるMAP2は剖検脳の固定状態により染色状 況は異なっていた。 膠芽腫患者剖検脳において、腫瘍境界領域ではOlig2陽性細胞の集簇が確認できた。MAP2によるニューロンの染色では脳浮腫や低酸素などによりニューロンが 死滅しているためか腫瘍境界領域での染色は悪く、ニューロンの軸索の観察は十分にはできなかった。腫瘍本体部分から少し離れた膠芽腫浸潤部分ではMAP2陽性のニューロン軸索に接して腫瘍細胞が存在する所見も得られ、ニューロンやオリゴデンドロサイトは膠芽腫細胞の生存や移動に関与していると考えられた。大脳病変では解剖学的構造の判断が難しいため、比較的構造が保たれた剖検脳の脳幹部分を用いて検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
膠芽腫患者剖検脳を用いた研究では、多くの場合浮腫や低酸素により腫瘍周囲脳組織細胞は死滅していることが多く、さらに、過固定になっている場合もあるの で、免疫組織染色がうまくいかない場合がある。選択する抗体に対しても、Olig2やSox2などの転写因子は核に染まり剖検脳を用いた場合でも比較的確認できる が、グルタミン酸受容体(AMPAR, NMDAR)などはうまく染色できないことが多かった。 膠芽腫患者剖検脳を使用した組織免疫染色を行うために、免疫染色の条件検討だけでは改善できない部分も認めた。そこで、現在では病理医と相談し過固定の防 止のために早めの切り出しを行いまた、切り出しに立ち合って関心領域の脳の切り出しを行っている。 また、使用する抗体に関しても、細胞膜のレセプター蛋白やMAP2など微小管結合蛋白などは安定した染色が得られなかったため、抗体の選択にも工夫したい。 現在、ニューロンとの関係を見るために解剖学的構造が比較的保たれている脳幹領域を中心に解析しており、オリゴデンドロサイトとの相互作用を明らかにしたい。
|
Causes of Carryover |
研究補助員の交代があり、慣れないため研究の進行はやや遅い。 COVID-19感染拡大によって、一部実験が制限され、計画していた研究で開始できなかった部分がある。学会参加も制限もしくはWeb参加となり旅費の使用も制限された。 また、自身が全身麻酔下の外科手術を受けた関係で、入院、手術、自宅療養に1か月を要した。 今年度に繰り越し研究に使用する。
|
Research Products
(6 results)