2021 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系悪性リンパ腫臨床試験における網羅的遺伝子解析による予後及び予測因子解析
Project/Area Number |
20K09375
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
塩川 芳昭 杏林大学, 医学部, 教授 (20245450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永根 基雄 杏林大学, 医学部, 教授 (60327468)
市村 幸一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40231146)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中枢神経系原発悪性リンパ腫 / JCOG1114C / 附随研究 / 予後因子 / MGMT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国内で実施された初の初発中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)に対する多施設共同第III相臨床試験(JCOG1114C)に登録された患者を対象に、手術で摘出(生検含む)された腫瘍標本を用いて、過去の国内外からの報告におけるPCNSLの分子遺伝学的予後因子について、MGMT遺伝子プロモーター領域メチル化解析(pyrosequencing法、MSP法)、NanoString法による遺伝子発現解析ならびに標的シークエンス(Ion Torrent multiplex PCR法による遺伝子変異解析、などを行う事で、これらを網羅的に検証し、予後因子ならびにmethotrexate(MTX)、temozolomide(TMZ)感受性規定因子としてのバイオマーカーを特定する事を目的とする。 2021年度では、JCOG1114C試験に一次登録された全134例を対象とする本研究の詳細な実施研究計画書を策定し、JCOGプロトコール審査委員会に提出し、審査の結果承認された。研究代表施設である杏林大学医学部において、本附随研究の倫理審査を受け、その承認が2021年に得られたため、JCOG脳腫瘍グループ参加施設(30施設強)において、施設倫理審査を実施、承認された。患者から同意、あるいはオプトアウトによる試料提供のもと、まずはMGMT解析をMSP法およびpyrosequencing法でに実施した。90%を越える登録例で解析が可能であった。その結果を基に、JCOGデータセンターにて予後データとの比較解析を実施中である。また解析に用いる各アッセイについて、各解析施設において予備的実験を進めており、特に研究に支障をきたす問題は発生していない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、本附随研究の研究計画書が完成し、承認プロセスも完了した。標本の受け渡しも完了し、2021年度に予定していたMGMT解析も完了した。2022年度は残る各種解析を進める状況にあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に全施設で倫理審査は完了しており、提出可能な腫瘍標本も送付されていて、準備状況は整っている。以下の目的を遂行するため、MGMT解析以外の各種遺伝子解析、免疫染色解析等を解析施設への標本の送付、解析施設での予備実験、実際の腫瘍標本を用いた本解析を進める。 1)目的1:中枢神経系原発悪性リンパ腫( PCNSL)の予後予測バイオマーカーの探索。 2)目的2:メソトレキセート( methotrexate: MTX)感受性規定因子の検討。 3)目的3:テモゾロミド( TMZ)感受性規定因子の検討。
|
Causes of Carryover |
2020年度、2021年度は研究計画書作成、承認手続きが中心となり、標本の各参加施設から解析施設への送付作業が中心となったこと、及び、既にアッセイ方法がよく確立しているMGMT遺伝子プロモーター領域メチル化解析を中心とした実験を行ったことにより、残る高額な費用を要するNanostring解析等を2022年度に予定したことが主な理由である。2022年度はNanostring解析を含めた残る予定解析実験を中心に実施予定であり、予算を十分に遂行する計画となる。
|