2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K09385
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木下 雅史 金沢大学, 医学系, 講師 (50525045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 理帆 金沢大学, 保健学系, 助教 (60614865)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 意欲 / 覚醒下手術 / グリオーマ / 高次脳機能 / 前頭葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
右前頭葉グリオーマ10例に対する覚醒下脳手術と直接電気刺激マッピング、モチベーション評価スケールによる術中および周術期の意欲レベルとその変化について調べた。MRIデータ(摘出腔、神経トラクトグラフィ、安静時fMRI)を収集し、意欲低下に関わる脳機能ネットワークに関して、ボクセル脳形態画像解析による構造解析ならびに機能連結性解析を行った。また、他の高次脳機能(右前頭葉が関わる感情、運動、視空間認知、作業記憶)が関わる影響について検討した。結果、術中の意欲低下と前頭葉-基底核連絡路が関わる認知運動ループによる自発性低下との関連性が疑われた。とくに意欲低下に関わる右前頭葉後方領域には、表情認識、空間性作業記憶、視空間認知、運動調整に関わる領域が密に存在することが術中機能マッピングから示唆された。すなわち、これらの各機能に関連する司令塔領域における同時多発的な障害が生じた結果、それらを相互連絡するメタネットワークに障害が生じ、意欲低下に影響している可能性が考えられた。さらに、術中の意欲低下を回避する方法として、術中脳機能マッピングによる意欲課題の開発に取り組んだ。他の神経機能ネットワークにおける刺激症状との鑑別が重要であり、今後は術中検査タスクのさらなる妥当性評価が必要であると考えられた。また、大脳交連線維である前交連の機能解剖について、特殊固定屍体脳を用いた神経剖出と標準脳データを元にした高解像トラクトグラフィ解析を行った。ヒトの意欲と意識に関わる中枢と前交連の関係について調べ、前頭葉グリオーマ症例では前交連を介した腫瘍浸潤が契機となる可能性が考えられた。
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