2021 Fiscal Year Research-status Report
Investigation regarding the progress of therapeutic effect of BNCT using folate receptor-targeted boron compound which be administered by convection enhanced delivery
Project/Area Number |
20K09399
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平松 亮 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (40609707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鰐渕 昌彦 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (30343388)
中村 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30274434)
川端 信司 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (20340549)
古瀬 元雅 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (70340560)
野々口 直助 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70388263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 葉酸受容体標的ホウ素化合物 / ホウ素中性子捕捉療法 / 悪性神経膠腫 / CED法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は腫瘍細胞のみを選択的に破壊することが可能な粒子線治療で、その原理は腫瘍細胞にホウ素‐10 (boron-10, 10B)化合物を取り込ませ、そこにほぼ無害である中性子を照射することにより、高線エネルギー付与のα粒子が腫瘍細胞ひとつ分に相当する飛程約10ミクロンに放出されることで腫瘍細胞のみを破壊するところにある。現在までに臨床BNCTに用いられてきたホウ素化合物(BPA, BSH)では、ある程度の治療効果が示せてはいるが、未だ不十分である。 そこで本研究では、昨年度同様に新規ホウ素化合物である新規葉酸受容体(Folate Receptor; FR)標的ホウ素化合物の薬剤開発を継続し、in vitro boron concentration experimentにてBPAおよびBSHとの腫瘍細胞内ホウ素取り込み量の比較実験を行った。また薬剤送達システムとしてConvection Enhanced Delivery(CED)法を用い、新規FR標的ホウ素化合物を投与したin vivo biodistribution experimentも昨年度同様に継続して行い、よりBNCTに最適な新規FR標的ホウ素化合物を探った。これらの結果より新規FR標的ホウ素化合物としてpteroyl closo-dodecaborate conjugate(PBC)が有力視された。PBCはin vitro boron concentration experimentではBSHと比較して有意差を持つ腫瘍細胞内ホウ素取り込み量を示せたが、BPAとの比較ではBPAの方が有意差を持って高い腫瘍細胞内ホウ素取り込み量を示した。しかしCED法で投与されたPBCはin vivo biodistribution experimentにて、BPAよりも高い腫瘍細胞内ホウ素取り込み量(64.6±29.6μgB/g)を示した。そこで令和4年度は脳腫瘍モデルラットにCED法でPBCを投与して中性子照射を行うin vivo BNCT experimentを行う予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は薬剤生合成に若干の遅れを生じたため、研究進歩状況が“やや遅れている”となっていたが、迅速に研究分担者である東京工業大学の中村教授と連絡をやり取りしたことで有望視される新規FR標的ホウ素化合物も含めた生合成が順調に作成され、問題は解消した。その結果令和3年度は、新規FR標的ホウ素化合物を用いた多くのin vitro boron concentration experimentとin vivo biodistribution experimentを行うことができた。有望視される新規FR標的ホウ素化合物を絞ることができ、研究の進歩状況はおおむね順調な状況まで取り戻してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来使用されてきたホウ素化合物(BPA, BSH)とのin vitro boron concentration experimentとin vivo biodistribution experimentより有望視された新規FR標的ホウ素化合物を、今後は研究計画通り脳腫瘍モデルラットに投与し中性子照射実験(in vivo BNCT study)を行っていく予定である。in vivo BNCT studyでは薬剤送達システムとしてConvection Enhanced Delivery (CED)法を用い脳腫瘍治療での弊害となっているBBBの問題を克服することで、治療効果のさらなる上乗せ効果に関しても検討する予定であり、従来使用されてきたホウ素化合物(BPA, BSH)との生存期間の観察と病理学検討を加える予定でいる。
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Causes of Carryover |
令和3年度の予定予算は、新規FR標的ホウ素化合物の薬剤開発の継続と新規FR標的ホウ素化合物の有用性を確認するためのin vitro boron concentration experimentとin vivo biodistribution experimentに予定通り使用してきたが、令和2年度の薬剤生合成の遅れにより生じた実験の遅れのために令和3年度に繰り越された令和2年度予定予算の一部分がそのまま残った形となった。それを令和4年度にそのまま繰り越し、追加のin vitro boron concentration experimentとin vivo biodistribution experiment と、令和4年度のメイン実験となるin vivo BNCT studyに用いる予定である。
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