2020 Fiscal Year Research-status Report
Developement of TERT-targeting novel therapy of malignant meningioma
Project/Area Number |
20K09401
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
高橋 雅道 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (10436454)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 髄膜腫 / TERT / エリブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
髄膜腫は原発性脳腫瘍の中で最も数の多い腫瘍で、その多くが良性腫瘍である一方で約15%は悪性である。繰り返す手術療法と放射線療法が行われるが未だ有効な化学療法・分子標的療法が確立しておらず、この疾患に苦しむ患者さんが多く存在している。近年我々はテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)遺伝子変異が持つRdRPと呼ばれる活性を強力に阻害するエリブリンという抗がん剤を用いて、TERT遺伝子変異を持つ膠芽腫に対する医師主導治験を展開している。悪性髄膜腫ではTERT遺伝子変異が高率に認められるため、本研究では悪性髄膜腫へのエリブリンの治療効果と効果発現機序を解析して臨床応用へ結びつけることを目標とする。 令和2年度は、悪性髄膜腫細胞株の入手と細胞株の遺伝子変異解析、およびエリブリンを用いた殺細胞効果の解析を行った。特に臨床検体から直接腫瘍検体を入手して初代培養を行って悪性髄膜腫細胞株を独自に樹立する事も並行して行った。これらの方法で入手した細胞株におけるTERT遺伝子発現解析、RdRP活性測定、エリブリン感受性試験などを行う事で基本的な細胞特性を明らかにする事を目標としている。また、髄膜腫細胞株を用いた安定したマウス皮下腫瘍モデル、脳腫瘍モデルを作成した。次年度にかけて将来的には悪性髄膜腫マウス脳腫瘍モデルへのエリブリンを用いた生存実験・解析実験を行う。エリブリン治療による効果発現のメカニズム解明のため、腫瘍細胞の病理学的検討、遺伝子発現解析、RdRP活性測定を行う。特にこれまで研究されている乳癌、悪性軟部腫瘍、そして膠芽腫で認められたエリブリンの治療効果発現機序と悪性髄膜腫での効果発現機序に相違があるのか、免疫染色、遺伝子変異解析により網羅的に解析を行う事を目標としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、本研究の遂行のための基盤となる実験環境の整備を進めることが出来た。1) 悪性髄膜腫細胞株の入手と細胞株の遺伝子変異解析、およびエリブリンを用いた殺細胞効果の解析:研究代表者らこれまで複数の髄膜腫細胞株を入手し既にin vitro cytotoxicity assayにてエリブリンの高い感受性を確認した。また、実際にこれらのうち一つの細胞株を免疫不全マウスの脳内へ移植したところ、腫瘍の形成を確認できた。将来の動物実験での有望な実験モデルになり得ると期待している。令和2年度はさらに多くの髄膜腫細胞株、特に臨床検体から直接腫瘍検体を入手して初代培養を行って悪性髄膜腫細胞株を独自に樹立する事も並行して行った。当院では多数の悪性脳腫瘍手術を行っており、既にこれまでに脳腫瘍検体からの直接細胞培養技術と手術検体の動物への直接移植モデル(Patient Derived Xenograft: PDXモデル)作成技術が確立しており日常的に行われている。これらの方法で入手した細胞株におけるTERT遺伝子発現解析、RdRP活性測定、エリブリン感受性試験などを行う事で基本的な細胞特性を明らかにする事を目標として研究を進めている。 2) 髄膜腫細胞株を用いた安定したマウス皮下腫瘍モデル、脳腫瘍モデルの作成:上記1)で確立した髄膜腫細胞株に対するエリブリンの生体内での抗腫瘍効果を判定できる動物モデルの確立のためにマウス皮下またはマウス脳への腫瘍細胞移植を行い、安定した動物モデルを作成する事を目標として実験を行った。安定したモデルが作成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降は、悪性髄膜腫マウス脳腫瘍モデルへのエリブリンを用いた生存実験・解析実験を行う。エリブリン治療による効果発現のメカニズム解明のため、腫瘍細胞の病理学的検討、遺伝子発現解析、RdRP活性測定を行う。特にこれまで研究されている乳癌、悪性軟部腫瘍、そして膠芽腫で認められたエリブリンの治療効果発現機序と悪性髄膜腫での効果発現機序に相違があるのか、免疫染色、遺伝子変異解析により網羅的に解析を行う事を目標としている。
|
Causes of Carryover |
研究計画自体は概ね順調に進行し、予算執行率は98%を超えた。一部の研究費は来年度へ繰り越して利用する予定である。
|