2020 Fiscal Year Research-status Report
Developmental profile of callosal myelination in children with refractory epilepsy
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20K09402
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center |
Principal Investigator |
小野 智憲 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 脳神経外科, 脳神経外科医長 (10393456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 涼子 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 小児科, 医師 (70457555)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大脳 / 発達 / てんかん / 髄鞘化 / 小児期 / 脳梁 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかん外科手術である脳梁離断術の適応となった患者において、①大脳間神経伝導速度計測、および②手術時に採取した大脳白質(脳梁)組織を用いた分子生物学的解析(ミエリン関連蛋白の定量)を行い、その年齢依存的成熟過程を明らかにし、さらに③MRIで計測したDTI(MRI-DTI)データと両者を比較することにより、①および②を非侵襲的に評価する臨床診断手法を確立するための研究である。 研究期間1年目(2020年度)は①を計測するための術中誘発電位(経脳梁誘発反応、transcallosal response、TCR)の記録、②のための組織採取、そしてMRIでの脳梁部分のDTIパラメーターの計測を行った。当該年度内に10症例の患者から研究協力の同意が得られデータ、組織を収集した。現在はまだデータや組織を収集している段階で新たな結果は出ていない。 すでに予備研究で集積したデータがあり、最終的にはそれも解析に含める予定である。これまで解析した手術時年齢10か月から420ヶ月までの42人の患者のデータでは、MRI-DTIでの拡散係数(ADC)と部分異方性(FA)の測定値は、両方が年齢に依存して変化し、ほとんどが100か月前後で横ばい状態(成熟)となった。また、TCR記録で得られる最初の陽性波の潜時を患者年齢でプロットすると、同じく生後100ヶ月前に成熟が見られ、神経伝導速度もまた同様に年齢依存的に上昇が見られた。 以上のように、これまでの結果からは、脳梁のMRI-DTIの加齢に伴う変化は、神経線維の生理学的および機能的成熟の両方を示唆しており、脳発達の推定年齢を非侵襲的に示すツールとなる。今後は本研究の核をなす部分でもある脳梁の組織分析の結果も加えて、さらに解明し、分子生物学的な成熟との相関について検証していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間1年目(2020年度)は①大脳内神経伝導速度を計測するための術中誘発電位記録(経脳梁誘発反応、transcallosal response、TCR)、②大脳白質(脳梁)の分子生物学的解析(ミエリン関連蛋白の定量)のための組織採取、そして③MRIでの脳梁部分のDTIパラメーターの計測を行った。当該年度内に10症例の患者から研究協力の同意が得られデータ、組織を収集した。 これらのデータの解析に関してはある程度の症例数が必要である。また、組織の蛋白質分析も検査キットのサイズや手技特性上解析は多症例分をまとめて行った方がコストを抑えられる。したがって研究期間1年目のデータはまだそれらの解析はできていないが、症例数的には想定内で、研究計画通りであると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果からは、脳梁のMRI-DTIの加齢に伴う変化は、神経線維の生理学的および機能的成熟の両方を示唆しており、脳発達の推定年齢を非侵襲的に示すツールとなることが示唆された。 研究期間1年目(2020年度)とほぼ同様のペースで今後もデータ収集ができると見込んでいるが、年度手術症例数の揺らぎや除外基準に該当するなどの症例が多く出てくると、期待のデータ数に達しない可能性がある。 しかし、その場合も大脳内神経伝導速度やMRI-DTIのデータに関しては、予備研究の30-40例と合わせて解析することで、十分な成果を得られると見込んでいる。本研究での新たな挑戦である脳梁組織のミエリン関連蛋白分析の結果も症例が初回目標に達し次第、おそらく研究期間2年目(2021年度)に解析を開始できると見越している。研究期間3年目(2022年度)にはすべてのデータの相関グラフを作成し、臨床応用に向けての検証にも着手したい。
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Causes of Carryover |
研究に用いるデータ収集や大脳組織の採取は計画通りであったが、大脳組織の蛋白定量分析を行う場合には、ある程度検体数をまとめて行った方が予算的にも無駄がないため、当該年度には購入しなかった物品があった。 また、COVID-19感染症蔓延に伴い、国内、海外へ移動を伴う学会参加を行わなかったため、その分に予定していた旅費も用いなかった。 この次年度使用額分を用いて、本研究の最大特徴でもある大脳組織の蛋白定量分析を行う予定である。初回分析の結果や費用を考慮した上ではあるが、データの信頼性を確認するための複数回検証も計画している。
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Research Products
(1 results)