2022 Fiscal Year Annual Research Report
靭帯分泌組織による靭帯再生能および治癒促進効果の解明
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20K09406
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中瀬 順介 金沢大学, 附属病院, 助教 (50584843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 甲順 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (50126603)
葛巻 徹 東海大学, 工学部, 教授 (50396909)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲル状分泌組織 / フィルムモデル法 / 靱帯治癒 / Ⅰ型コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの研究成果をもとにウサギアキレス腱断端から生成されるゲル状分泌組織(テンドゲル)の靭帯治癒促進効果の検証について組織学的評価を中心に実施した。方法は、フィルムモデル法を用いて最もコラーゲン再生能力が高い生体保存期間3日のテンドンゲルを採取し、別個体の内側側副靭帯損傷モデルを作成後、右膝の縫合部にテンドンゲルを縫着するテンドンゲル添加群を作成した。左膝はそのまま閉創し非添加群とした。術後7日、14日、28日で20検体ずつ摘出し、力学(最大試験力N、弾性率N/mm2)、組織(マッソントリクローム染色、免疫染色)評価を実施した。その結果、特に術後2週におけるテンドンゲル添加群の損傷部は、非添加群に比べて弾性率1.7倍、最大試験力約2.9倍の力学強度を有した。 力学試験結果の根拠を示すため、マッソントリクローム染色を用いて正常靭帯に対する損傷部の染色輝度を測定し、コラーゲンの再生についてテンドンゲル添加群と非添加群を比較した。その結果、術後7日における染色輝度はテンドンゲル添加群で82%、非添加群で77%、術後14日においてはテンドンゲル添加群で96%、非添加群で87%であり、テンドンゲル添加群でコラーゲン再生が進行していることが示された。続いて、免疫染色を用いてⅠ型コラーゲン、Ⅲ型コラーゲンを染色し、再生されるコラーゲン型について調査した。その結果、術後7日におけるテンドンゲル添加群の損傷部では、非添加群に比べⅠ型、Ⅲ型コラーゲンの再生が観察され、特にⅠ型コラーゲンの再生が顕著であった。また術後14日においても、テンドンゲル添加群でⅠ型コラーゲンの再生が顕著にみられた。以上により、生体保存期間3日のテンドンゲルはⅠ型コラーゲンを主とする再生促進を根拠に、膝内側側副靭帯の治癒を促す可能性があることが示された。
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