2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来の脊髄神経幹細胞による脊髄損傷治療法の確立
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20K09413
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊丸 浩仁 九州大学, 大学病院, 助教 (50837309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 再生医療 / IPS細胞 / 神経幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトRiPS細胞の作製 まず安全性が高いiPS細胞を作成するため、mRNA(KLF-4, c-MYC, OCT4, SOX2)のみを利用してヒト線維芽細胞をリプログラミングしヒトRNA-iPSC(RiPSC)を作成した。これらの細胞は単層培養で多能性細胞の形態をとっており、免疫染色により多能性細胞のマーカーであるOCT4及びSOX2の発現が確認された。 RiPS細胞から脊髄神経幹細胞の誘導 単層培養されたヒトRiPS細胞を脊髄神経幹細胞誘導培地(N2B27培地, LDN-19318, SB-431542, CHIR-99021 FGF2及びFGF8;Kumamaru et al, Nat Methods, 2018)内で培養すると神経系細胞のマーカーであるSOX1,SOX2及び中胚葉系細胞のマーカーであるTの遺伝子発現上昇が認められた。誘導開始3日目にヒトRiPS細胞はSOX2+TBXT+神経中胚葉前駆細胞に分化しており、SOX2+PAX6+神経上皮前駆細胞は認めなかった。また遺伝子発現解析によりこれらの細胞は脊髄固有のHOX遺伝子(HOX6-9)を発現していることが確認された。誘導開始後10日目に90%以上の細胞がCDX2+SOX2+の脊髄神経幹細胞に分化しており、遺伝子発現解析でもこれらの細胞はヒト胎児由来の脳神経幹細胞ではなく脊髄神経幹細胞に類似した遺伝子発現を示した。 これらの細胞は長期培養後(3か月)も遺伝子発現解析によって長期培養後も脊髄の性質を保っていることが確認され、免疫染色により神経幹細胞のマーカーであるSOX1,SOX2,Nestin(Nes)を発現しておりヒトiPS細胞由来の脊髄神経幹細胞の長期培養に成功した。またこれらの細胞がDCX陽性のニューロンに分化できることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトiPS細胞の誘導,ヒトiPS細胞からの脊髄神経幹細胞の誘導・長期培養,ニューロンへの文化は予定通り成功しており、おおむね実験計画どおり順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒトiPS細胞由来の脊髄細胞のラット損傷脊髄へ移植を行い移植3・6ヶ月後に免疫染色により分化能・増殖能・腫瘍化の有無を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延に伴ない学会出張等の移動にかかる費用が大幅に不要となった。 今後は実験動物・実験試薬を中心として使用していく予定としている。
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