2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来の脊髄神経幹細胞による脊髄損傷治療法の確立
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20K09413
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊丸 浩仁 九州大学, 大学病院, 助教 (50837309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 再生医療 / IPS細胞 / 神経幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
安全性が高いとされるmRNA(KLF-4, c-MYC, OCT4, SOX2)のみを利用してヒト線維芽細胞からリプログラミングされたヒトRNA-iPSC(RiPSC)脊髄神経幹細胞の誘導及び3か月以上の長期培養に成功後、ニューロンへの分化培地(N2B27, 300ng/ml cAMP, 0.2mM vitaminC)にて6週培養を行い蛍光免疫染色を行うと、未熟なニューロンマーカーであるDCXのみならず成熟ニューロンのマーカーであるMAP2の発現が確認された。またこれらの脊髄神経幹細胞由来のニューロンは脊髄運動ニューロンのマーカーであるHb9、ISL1/2,抑制系ニューロンのマーカーであるPax2、感覚系ニューロンのマーカーであるBrn3a,Tlx3の発現が確認され脊髄内に存在するさまざまな種類のニューロンへの分化能を有していることが確認された。
免疫不全ラット正常脊髄(第4頚髄レベル) これらのRiPSC由来脊髄神経幹細胞にレンチウイルスを用いてGFPを発現させた。 その後免疫不全ラットの正常脊髄(第4頚髄レベル)に100万個の細胞を栄養因子カクテルと混ぜ移植を行ない、移植2か月後に実験動物を4%PFAで還流固定後移植脊髄を採取し、免疫染色を行った。蛍光免疫染色によりKl6,Nanog等の腫瘍マーカーの発現はなく、腫瘍化していないことが確認された。また移植細胞はニューロンのマーカーであるNenN,DCX,Tuj1を発現しており移植後にRiPSC由来脊髄神経幹細胞がニューロンに分化できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年の研究でRiPS細胞由来の細胞がラットに移植可能な状態となっており、おおむね予定どおり研究は進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの細胞の移植後の動態はヒトES細胞由来脊髄幹細胞とほぼ同等であり、今後は損傷脊髄にヒトRiPSC由来脊髄神経幹細胞を移植しニューロンへの分化能・ホストとのシナプス形成の有無を解析していく
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延に伴ない学会出張等の移動にかかる費用が大幅に不要となった。 今後は実験動物・実験試薬を中心として使用していく予定としている。
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