2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来の脊髄神経幹細胞による脊髄損傷治療法の確立
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20K09413
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊丸 浩仁 九州大学, 大学病院, 助教 (50837309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 再生医療 / IPS細胞 / 神経幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
安全性が高いとされるmRNA(KLF-4, c-MYC, OCT4, SOX2)のみを利用してヒト線維芽細胞からリプログラミングされたヒトRNA-iPSC(RiPSC)脊髄神経幹細胞の誘導及び3か月以上の長期培養に成功しさまざまな種類の脊髄ニューロンへの分化能を有していることは確認されさらに免疫不全ラット正常脊髄(第4頚髄レベル)に移植し腫瘍化は認められず、ニューロンへの分化能を有していることが確認された(R3)。 免疫不全ラット損傷脊髄(第4頚髄レベル)にこれらの細胞を移植し(P16)、移植後2か月、4か月に細胞のニューロンへの分化を確認した。その結果、移植細胞は移植後2か月の時点成熟ニューロンのマーカーであるNeuNを発現しており、4か月の時点ではNeuN陽性細胞はさらに成熟した形態に分化しておりニューロンへの分化能を有していることが確認された。さらにGFAP陽性のアストロサイト、NG2陽性のオリゴデンドロサイトへの分化も認められヒトRiPSC由来脊髄神経幹細胞が神経系3系統の細胞に移植後も分化できることが確認された。 免疫染色による定量の結果、ニューロンへ分化した細胞が80%程度であり、ES細胞由来脊髄神経幹細胞(Kumamaru et al 2018 Nat Methods)とほぼ同等の分化を示した。さらに我々が確立した方法で移植ニューロンの識別を行った結果、約30%の移植ニューロンが感覚系ニューロン・約30%の移植ニューロンが運動系ニューロンに分化していることが解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍化が認められた場合には細胞を作り直す必要があったため、大幅な実験計画の遅れが予測されたが、損傷脊髄にRIPSC由来の脊髄幹細胞の移植を行い、腫瘍化を認めず順調に計画は進んでいると考えられる。 さらに移植細胞のニューロンへの分化及びその詳細な識別を行っており、新しい知見も得られた
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれらの細胞を用いて損傷部の空洞内への皮質脊髄路の再生の実験に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの発生により学会発表の機会が減ったこと及び実験量が減ったことが原因と考えられる。本年は通常どおりの学会発表及び実験量に戻ることが期待される。また実験量に関してはこれまでできなかった実験を再開・開始することが可能であるため資金が不足する可能性が危惧される。
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[Journal Article] Rhesus macaque versus rat divergence in the corticospinal projectome2022
Author(s)
Sinopoulou Eleni、Rosenzweig Ephron S.、Conner James M.、Gibbs Daniel、Weinholtz Chase A.、Weber Janet L.、Brock John H.、Nout-Lomas Yvette S.、Ovruchesky Eric、Takashima Yoshio、Biane Jeremy S.、Kumamaru Hiromi、Havton Leif A.、Beattie Michael S.、Bresnahan Jacqueline C.、Tuszynski Mark H.
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Journal Title
Neuron
Volume: 110
Pages: 2970~2983.e4
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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