2021 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷2次障害に対するGLP-1受容体作動薬の有効性の検討
Project/Area Number |
20K09417
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 東海大学, 医学部, 教授 (40220925)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕幸 東海大学, 医学部, 准教授 (40348678)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | GLP-1受容体作動薬 / 小胞体ストレス応答 / 脊髄損傷 / マクロファージ / 血液脳脊髄関門 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
GLP-1受容体作動薬エキセナチドの投与により損傷脊髄内でのpro-apoptotic transcription factorであるCHOPは抑制され、対照的に小胞体ストレスに対し細胞保護的に働く小胞体シャペロンであるGRP78は増加を認めたことから、GLP-1受容体作動薬エキナセチドは小胞体ストレス応答を増強しアポトーシスを抑制することにより下肢運動機能を改善することを報告している.病理学的検討では、損傷後14日のHE染色で、エキナセチド群で有意に空洞面積が減少しており、組織学的に保護されていた.LFB染色でも髄鞘が有意に保護されていることが観察できた.また、エキセナチド投与により、抗炎症/組織修復に関与するM2が有意に増加し、一方炎症/組織傷害に関連するM1では有意差はないが発現が減少する傾向がみられ、M1の指標となるiNOSとCD16は損傷後3日に有意に低値を示し、M2の指標となるArginase1,CD163は損傷後3日に、CD206損傷後1日目から有意に高値をしめした.炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-1βなど)や抗炎症性サイトカイン(Il-4,IL-10など)も評価した.サイトカインについてはTNFα 、IL-1β等の炎症性サイトカインが減少し、IL-4 ,IL-10の抗炎症性サイトカインが高発現していた.血液脳脊髄関門に対する検討を行った.脊髄摘出前にEvans Blue結合アルブミンあるいはフルオレセインナトリウムを静脈内に投与し、脊髄を摘出した.蛍光イメージングによりトレーサーの濃度を測定し、血液脳脊髄関門の破綻を評価した.損傷後48hでエバンスブルー漏出がエキナセチド投与で有意に低下し、保護効果が実証された.また、Tight Junctionに関わるタンパクを定量したところ,損傷後48時間でエキセナチド群において,Zo-1の発現が有意に高かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に実験は進んでいる. 血液脳脊髄関門への影響について詳細な検討を行ったが、現在Zo-1以外のTight Junction関連タンパクや浮腫について検討を行っている .最終年度にあたり、総合的評価を行っていく.今後、臨床応用にむけて投与方法や量について最終的な確認を行う予定である.また、継続して長期的な作用についての検討を行う.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度は血液脳脊髄関門の精査をおこなったが、今年度は投与方法と投与量の確認を行う.また、GLP-1受容体作動薬の効果により2次障害と遅発性細胞死を免れたオリゴデンドロサイト前駆細胞の生存・分化、それにより再髄鞘形成の確認をおこなう.損傷直後にBrdUを投与することにより増殖したオリゴデンドロサイト前駆細胞のマーキングを行い経時的な観察により照明する.
|
Causes of Carryover |
コロナの影響もあり学会への出張が制限されたこと、血液脳脊髄関門のtight junctionタンパク質の分析に時間を要し本来行うべき予定であったオリゴデンドロサイト前駆細胞の追跡研究が遅れたこと、これらにより差違が生じました.次年度はこれらを遂行する予定です
|