2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of monitoring system for rapid detection of orthopaedic SSI using the portable DNA sequencer MinION
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20K09419
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
串田 剛俊 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70411527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 禎之 関西医科大学, 医学部, 講師 (50447926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MinION / NGS / インプラント感染 / 脊椎術後感染 / SSI |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者らはMinIONを活用した細菌の迅速同定法を確立し感染症診断に大きな変革をもたらすことを目標にしている。特に整形外科手術においてはインプラント感染の予防は大きな課題である。インプラント感染を一度起こすと長期的な抗菌薬の使用が必要になり、感染巣郭清やさらに難治性であればインプラント入れ替えなどの外科的治療を要することが多い。しかし、予防的抗菌薬の使用は多剤耐性菌を生み出すことが知られていることから、推奨されておらず、早期感染症の診断や起炎菌の存在を明らかにする技術・手法が求められている。そこで報告者らはMinIONを用いて、頚椎術後早期の患者を対象に検体の採取、sequencingを行い、術後早期感染の検出に有効であるかの検証を行っている。 現在我々の患者抽出のプロトコールとして、80歳以上の高齢者、糖尿病、アレルギー性皮膚炎、抗リウマチ薬、免疫抑制薬の内服などの免疫機能低下を来す併存症を有する患者の中から、頚椎椎弓形成術・頚椎固定術を施行した症例に対して、術後1日目の硬膜外ドレーン廃液を採取し、その採取検体の一部をコントロールとして一般細菌培養検査を、また残りをMinIONを用いたDNAシークエンスを行い、SSI発生症例における起炎菌との関連性を確認している。 2020年度の報告で非感染例における偽陽性検出がなく、特異度が高い検査手法である可能性を示したが、新型コロナ感染症による症例数の低下により、SSI例がなく、感染症例のデータ蓄積が課題であった。 2021年度も頚椎術後のSSI発症例がなく、研究の大きな進行はなかったが、抽出症例の範囲拡大も念頭に置き、引き続きSSI発症例の症例数を蓄積していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
患者抽出プロトコールで感染リスクの高い頚椎術後症例を選択したが、明らかなSSI発症を認めず、陽性データの解析が行えていないために、システム構築に必要なデータが揃っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
脊椎手術後SSI発症例のデータを増やすために患者抽出プロトコールの変更を考えている。 一点目は頚椎以外の脊椎手術も検討対象に組み込む案であるが、概ね当施設で行われている胸腰椎での手術が経皮的椎弓根スクリューを用いた低侵襲固定手術のためドレーンが入らず、感染リスクも極めて低いため、症例数の大幅な増加は期待できない。 二点目は研究対象施設を拡大し、他施設共同研究とする案であるが、コントロールとして行なっている培養検査手法を施設間で同一化するなど課題もある上に、残り研究年数も考慮すると現実的とは言い難いが、SSI症例の増加は期待できるものと考える。
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Causes of Carryover |
研究遅延により消耗物品が予定より使用されないために、当初の予定物品費を下回る事となった。また研究遅延の原因である頚椎術後感染症例データの不足のため、学会発表及び論文作成ができていないことから旅費・その他費用が生じていない。これらが当該年度の使用予定に達さず、次年度使用額が生じた理由である。現在、研究遅延に対して対象疾患の拡大による急激な検体数の増加が予想され、検体保管用冷蔵庫の購入費や本年度の使用予定であった消耗物品費、学会発表の旅費、論文作成費用に使用する計画である。
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