2020 Fiscal Year Research-status Report
The protective effects of new mitochondrial modulators on onset and progression of osteoarthritis
Project/Area Number |
20K09426
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 功 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00718497)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健弘 東北大学, 医工学研究科, 特任准教授 (50396438)
阿部 高明 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80292209)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 変形性関節症 / MA-5 / ミトコンドリア代謝改善 / 関節軟骨保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
私達はミトコンドリア機能改善効果を持つ新規化合物MA-5が、変形性関節症(osteoarthritis: OA)の発症や進行を低減させる作用があるかを検証するため、種々の実験を進めてきた。具体的には、マウスの膝関節にOAを惹起するモデルであるDMM(半月板不安定化)モデルを作成し、それにMA-5を4-8習慣にわたって連日経口投与することにより、対照群と比較して膝関節OAの程度や形態に変化が生じるかについて検証してきた。MA-5を8週間連日投与した群において、その膝関節軟骨の組織像を確認すると、膝関節軟骨変性の僅かな減弱効果がみられた。これはMA-5が、膝関節軟骨のOA変化に対して、何らかの保護作用を有していることを示す重要な所見と考えている。 またそれに付随し、マウスを屠殺後に採取した下肢の筋組織を用い、電子顕微鏡でミトコンドリアの形態を確認した。その結果、MA-5投与群と非投与群において筋ミトコンドリアの形態に違いがみられた。具体的には、MA-5投与群に置いては、ミトコンドリアのサイズの縮小化がみられていた。その意味合いについては、今後検証をようする。 研究計画にあるマウス膝関節軟骨からの核酸抽出および網羅的遺伝子解析については、進捗がやや難航している。その原因として、マウス膝関節から採取される軟骨片が非常に小さく、そこからマイクロアレイに耐えるRNAの量と質を担保することが困難であることが、その理由としてあげられる。研究計画書に記載した、パスウェイ解析やクロマチン免疫沈降法による解析等は、その先にある部分であるため、まだ着手できていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のごとく、実験計画に沿って研究が進行しており、一部は計画で示した内容の結果が出ているため、実験は概ね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、関節軟骨細胞における関節軟骨破壊に寄与するMMP-13やADAMTS群などの発現状況について、免疫組織化学的検索を行う予定である。またマイクロCTによるMA-5が下肢の筋体積に与える影響の解析、関節軟骨細胞からの網羅的遺伝子発現解析も併せて進める予定である。上記のごとく、マウス膝関節からの核酸抽出について、その技術的問題を解決すべく、方法を模索する。さらには、同時に上記のモデルマウスから得られる糞便を使用した、メタボローム・マイクロバイオーム解析も検討している。
|
Causes of Carryover |
費用が高額となるマイクロアレイ解析やリアルタイムPCR等での遺伝子解析が、本年度は進まなかったことによると考えている。次年度は比較的高額な実験試薬を用いる機会が増えると考えている。
|