2022 Fiscal Year Research-status Report
悪性軟部腫瘍個別化療法のための新規同所移植モデル確立とその機能解析
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20K09456
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 憲男 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (90332668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メチオニン分解酵素 / rMETase / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでの研究で,患者由来組織同所移植マウスモデルが,生体内での腫瘍環境を再現するのにより有用であることを見出し,本手法を用いて未分化多形肉腫患者由来の腫瘍を用いた薬剤耐性軟部肉腫患者の患者由来組織同所移植マウスモデルを作成することに成功した. また一方,癌細胞ではメチオニン代謝が異常に亢進しており,メチオニンを制限すると癌細胞の増殖が抑制される.そこで組み換えメチオニン分解酵素(recombinant methioninase: rMETase)をマウスモデルに経口投与すると,,未分化多形肉腫の患者由来組織同所移植モデルにおいて,ドキソルビシンに耐性を示す腫瘍の増殖を抑制することから,未分化多形肉腫がメチオニン依存性であることを明らかとした. さらに,癌細胞のメチオニン要求性と癌細胞のDNAメチル化異常の関連により,マウスモデルを用いたrMETaseとDNAメチル化阻害薬(デシタビン)の相乗効果の解析では,ドキソルビシン単独では抑制できない腫瘍増殖を,rMETaseとデシタビンの併用療法により抑制できることを明らかとした.そして癌細胞において,メチオニンはs-adenosylmethionine(SAM)への変換を介して,DNAの異常メチル化を生じていること(methionine-methylation axis)から,SAMの阻害剤(シクロロイシン)を rMETaseとデシタビンに併用することで,methionine-methylation axisを完全に阻害し,腫瘍のメチル化を完全に枯渇化する可能性を見出した. そこで,難治性の未分化多形肉腫患者由来のマウス同所移植モデルにおいて,デシタビンおよびシクロロイシンと経口組換えメチオニナーゼを併用したmethionine-methylation axis遮断療法の有効性について検討を行ったところ,腫瘍の広範囲壊死と縮小を認めた. 以上より,デシタビン,シクロロイシン,そして経口組換えメチオニナーゼの併用療法によるmethionine-methylation axis遮断という新しい概念による癌治療の有用性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究を通じて,患者由来組織同所移植マウスモデルが,生体内での腫瘍環境を再現するのにより有用であることを見出し,薬剤耐性の軟部肉腫における移植モデルとを確立した.また,癌のメチオニン要求性に注目し,難治性の未分化多形肉腫モデルにおいて,デシタビンおよびシクロロイシンと経口組換えメチオニナーゼを併用したmethionine-methylation axis遮断という新しい概念の治療法が,有用であることを見出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでコロナ禍のため,海外研究研究施設との人的交流は極めて困難であった.しかしCOVID-19に対する規制も大幅に緩和されるに至り,重要な研究パートナーであるカリフォルニア大学サンディエゴ校のRobrt Hoffman教授の研究室への人的派遣も2023年4月より再開している.今後は他癌腫においても,本治療法の有用性を検討するとともに,また他癌腫における患者由来組織同所移植マウスモデル作成と有効薬剤の評価検討を継続する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は,使用する研究薬剤,実験動物代などの費用を他より出費した.またコロナ禍のため,学会参加や,研究打ち合わせでの出張ができず,次年度繰越金が発生した.今年度は,海外への人的派遣を行っており,また学会参加,研究動物数の増加を行うことで,予定通りの予算執行となる予定である.
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