2020 Fiscal Year Research-status Report
アディポネクチンによる椎間板変性・炎症に対する治療法の開発
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20K09480
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
張 鍾穎 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00824195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角谷 賢一朗 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (10533739)
由留部 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10514648)
垣内 裕司 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (40849212)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 椎間板変性 / アディポネクチン / アディポロン / 抗炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
椎間板変性は腰痛の主な原因の一つである.アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つであり,抗炎症作用を有すると報告されている.アディポネクチンの臨床応用を目指し、まず始めにアディポネクチン受容体アゴニストであるアディポロン投与がヒト椎間板細胞に与える影響を検討した.脊椎手術を施行された10~70歳代16例のヒト椎間板細胞を培養してアディポロンの細胞毒性を検討した.次にヒト椎間板細胞を三次元培地TASCL(Tapered Soft Stencil for Cluster Culture)に培養,細胞塊を形成した後に4グループ(Control群:C群、アディポロン投与群:A群、IL-1β投与群:I群、アディポロン+IL-1β投与群:A+I群)に分けた.その細胞を回収しRT-PCR,蛍光免疫染色,Western Blotting法を用いて細胞外基質同化・異化因子,炎症性サイトカインの発現について比較した. 細胞毒性試験では5μM以上の濃度で有意に細胞毒性をもつことが示された(p<0.001).RT-PCR法ではTNF-α(p=0.003),IL-6(p=0.004),MMP-13(p<0.001),ADAMTS-4(p=0.001)についてI群とA+I群間で有意に発現低下を認めた.細胞外基質同化因子はI群とA+I群間に有意差は認めなかった.同様の結果を蛍光免疫染色,Western Blotting法でも認めた. 以上よりIL-1β刺激下でのアディポロン処理は,ヒト椎間板細胞における炎症性サイトカインの発現を有意に低下させることが示された.さらに,アグリカン分解や椎間板変性の原因となるADAMTS-4,MMP-13の発現が有意に低下することも示された.以上の結果から,アディポロン投与は椎間板変性進行の防止や予防に有用な可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アディポネクチン受容体アゴニストで経口投与可能なアディポロンは臨床応用がよりしやすいと考えているが、椎間板変性や抗炎症作用を検討するにあたってin vitroの実験データが不足していると考えた。従って、まずアディポロンを用いたin vitro実験を中心に研究を進め、満足出来る結果を得た。今後ラットを用いたin vivo実験を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット尾椎を用いた動物実験を行う予定である。コントロール椎間板、椎間板変性を惹起した椎間板、椎間板変性を惹起した椎間板にアディポロンを注射投与したものをそれぞれ作成し、X線検査、MRI検査、組織学的評価、RNAやタンパクレベルでの炎症性サイトカインや細胞外基質同化・異化因子の評価を行うことで、アディポロンを用いたアディポネクチンの椎間板における変性や炎症への作用を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、大学での研究・実験や国内外の学会出張が制限され、その結果未使用額が生じた。このため、予定していた実験や学会発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費にあてることとしたい。
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[Presentation] Effect of Adiponectin receptor agonist AdipoRon on human intervertebral disc cell in a three-dimensional cell culture2021
Author(s)
Hiroki Ohnishi, Zhongying Zhang, Takashi Yurube, Yuji Kakiuchi,Junya Yamamoto, Yutaro Kanda, Ryu Tsujimoto, Kunihiko Miyazaki, Toru Takada, Ryosuke Kuroda, Kenichiro Kakutani
Organizer
The 67th, Annual Meeting, Orthopaedic Research Society
Int'l Joint Research