2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of Sox9/Scx-target genes for regenration of shoulder rotator cuff enthesis
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20K09482
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 昇 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20626866)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | enthesis / Sox9 / Scx |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、Sox9とScxが協調的に誘導する標的遺伝子を同定し、in vitroとin vivoでその機能、すなわちenthesis再生における役割を解析する事である。腱板修復にはenthesis再生が不可欠である事、enthesis形成にはSox9+/Scx+ statusの細胞が重要である事に立脚し、Sox9とScxが協調的に誘導する未知のenthesisマスター因子と呼ぶべき特異的遺伝子を同定し、これを治療分子標的として機能評価する事である。その観点に立ち、まずSox9とScxを同時に誘導できる因子の検索を行った。マウス間葉系幹細胞(MSC)、ATDC5細胞、そしてC3H/10T1/2細胞など、軟骨細胞腱細胞両分化ポテンシャルを持つ細胞を用いた。Enthesis再生にTGF-βとBMP(共にTGF-βファミリー分子群)の必要性が報告されているので、商品ベースで購入可能な各種TGF-βファミリー・リガンド(TGF-β1, TGF-β2, TGF-β3, myostatin, activin A, BMP-2, BMP-3, BMP-6, BMP-9, BMP-10, BMP-14, GDF-3, GDF-6, GDF-7, GDF-9, GDF-15, nodal, inhibin A, Lefty A)をそれぞれ添加して、より強力な誘導因子を検索した。その結果、TGF-β1, TGF-β2, myostatin, activin AにSox9/Scx double positive状態を誘導する能力があることが分かった。 一方、Sox9とScxの共通標的遺伝子を検索するためのツールとして、両者の発現ベクター、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)の作製に着手し、進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、おおむね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
[Sox9/Scxの標的遺伝子の検索]第1次スクリーニング:次の条件を満たす遺伝子群を検索する。(ア)TGF-β1刺激で発現変化 (up/down)(イ)Sox9、Scxそれぞれ単独の過剰発現では発現変動しないが、二者同時に作用させると2倍以上の変動。(ウ)Sox9/Scxのloss-of-functionにて逆の発現変動。(エ)既知の軟骨細胞や線維芽細胞、腱・靭帯細胞の発現(マーカー)遺伝子は除く。以上をマイクロアレイ解析にて検索する。過剰発現には動物実験を見据えてアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いる。Loss-of-function実験はsiRNAノックダウン(効率が悪ければCRISPR/Cas9ノックアウト)にて行う。 第2次スクリーニング:腱板形成において、Sox9/Scx共発現は、BMPやIhhが作用して線維軟骨が石灰化するフェーズでは消失する事から、enthesis決定遺伝子はBMP/Ihhシグナルによって発現変動を受けると予想する。したがって、第1スクリーニングで抽出された遺伝子群のうち、BMP(BMP-2)あるいはIhh刺激によって発現変化するものをさらに絞り込む。(ア)抽出遺伝子の過剰発現(AAV6, プラスミド)やsiRNA導入によるMSCの分化への影響を、軟骨と腱・靭帯 のマーカーの定量的RT-PCR法やウエスタン・ブロット法で解析する。(イ)正常マウスの腱板enthesisのパラフィン切片を作製し、対象遺伝子の抗体が入手可能なら免疫組織化学染色を、ない場合はin situ hybridization を施行して、発現分布、特にenthesisの4層構造のどこに発現するか、高齢変性と共に変化するかも含めて観察する。
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Causes of Carryover |
残った次年度使用額は、抗体やキットが購入できない程の少額であり、今後問題なく使用予定である。
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