2021 Fiscal Year Research-status Report
脊損に対する骨髄幹細胞治療後の網羅的遺伝子解析による“脳および脊髄の反応”の解明
Project/Area Number |
20K09483
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
押切 勉 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (70754612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 亮介 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10815434)
山下 敏彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70244366)
岡 真一 札幌医科大学, その他部局等, 講師 (70789453)
佐々木 優子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80631142)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
栗原 康太 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20855803)
福士 龍之介 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00894065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 骨髄間葉系幹細胞 / 静脈的投与 / 再生医療 / 遺伝子解析 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は脊髄損傷患者に対する自己骨髄幹細胞(MSC)の静脈的投与を行った医師主導治験において、脳のMRI diffusion tensor imaging (DTI)を用いたコネクトーム解析を行い、脳のplasticityが亢進していることを見出した。さらに、最近では、脊髄損傷ラットモデルにMSC移植を行い、運動機能の回復が現れた移植3日目に大脳皮質運動野の網羅的遺伝子解析を行った結果、複数の遺伝子の発現量に変化があり、これらの遺伝子の多くは神経再生、plasticityの亢進に関与する遺伝子であることを報告した(Oshigiri et al.,2019)。そこで本申請では、先行研究を発展させ、大脳皮質の更なる解析に加えて脊髄損傷局所の網羅的遺伝子解析を複数の観察ポイントで行い、運動機能の改善に関与する遺伝子のプロファイルを解析し、中枢神経系全体の遺伝子発現の変化を総合的に考察することで、次世代の治療法に展開させることを目的とする。 現在までに、本研究費によって、ラット脊髄圧座モデルを作成し、MSCを左大腿静脈より投与し、下肢運動機能の行動解析をBBBscore行い、投与群の優位性を認めた。移植後3日目および7日目の大脳皮質運動野のMicroarrayによる網羅的遺伝子解析を行っている。これまでのところ、移植後7日目と比較して、3日目の大脳皮質の遺伝子が大きく変化しており、運動機能回復に関連した遺伝子がいくつか判明され、その経時的な変化の解析を行っているところである。また、脊髄及び脳の組織から得られた複数タイムポイントの遺伝子情報を元に、複数のデータベース(Gene Ontology解析、パスウェイ解析、エンリッチ解析、タンパク質相互作用解析、プロモーター解析)を用いて、統合的に遺伝子発現解析を行う。 以上のように、補助金は補助条件に従って、有効に使用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
麻酔下にラット実験的脊髄損傷(脊髄圧坐)モデルを作成し、培養された骨髄間葉系幹細胞を移植した後に、急性期における大脳皮質の網羅的遺伝子解析が経時 的に行われており、データ収集を順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット脊髄損傷モデルに対する骨髄間葉系幹細胞移植により、移植後早期の大脳皮質の運動野で運動機能に関連した遺伝子の変化が認められたことから、脊髄損傷患者の移植後早期の機能回復のメカニズムの一つと考えられた。これらを複数のデータベースを駆使した統合的な遺伝子発現解析により、MSC治療によりplasticityの賦活化に関わり、運動機能回復に貢献する遺伝子のプラファイルを明らかなにして、次世代の治療法の展開につなげることが期待できる。
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Causes of Carryover |
(理由)研究計画が順調に進み、予定していたよりも少ない使用額が発生したため。 (使用計画)次年度使用額に応じて、試薬の購入等に充てるなど、研究費用を計画的に使用する予定である。
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