2020 Fiscal Year Research-status Report
軽度認知機能障害は腰椎手術の成績不良因子となるか-探索的研究
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20K09484
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 和之 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80529149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 晃司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50285029)
紺野 愼一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70254018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腰部脊柱管狭窄 / 軽度認知機能障害 / 手術成績 / 高齢社会 / 痛み / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢社会において、認知症の前段階であるMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知機能障害)が注目されており、その頻度は15-25%と報告されている。高齢者が多い整形外科領域でもMCIを有する症例の割合は高いと考えられるが、詳細な検討は行われていない。MCIは一見して異常が指摘できないため、MCIを有する症例を認識しないまま手術などの治療を行っている可能性が高い。MCIが存在した場合、病状や手術に対する理解が不十分であったり、痛みに対する認知に影響したりして、手術成績不良の原因となる可能性がある。そこで、整形外科で頻度の高い腰部脊柱管狭窄症例を対象に、MCIの有病率を明らかにすること、そしてMCIが手術前後の痛みやQOL、手術成績に与える影響を調査することを目的として研究を開始した。MCI と腰痛や術後痛との関連、手術成績への影響を検討した報告はこれまでなく本研究によって新たな知見が得られる。MCIと痛みやQOLとの関連が明らかとなれば、術後に遷延する痛みや手術成績不良例の危険因子としてMCIを提案できる。本研究では、MCIの評価として世界的に用いられているMontreal Cognitive Assessment の日本語版(MoCA-J)を用いてMCIの有無を判定する。それに加えて認知症の客観的検査として脳脊髄液のバイオマーカー測定を行う。脳脊髄液バイオマーカーと痛みや手術成績との関連については過去に報告はない。脳脊髄液バイオマーカーは正常例でも認知機能の予後予測に有用であり、MoCA-Jと脳脊髄液バイオマーカーを用いることで、正常例の認知機能予後と痛みや手術成績との関連やMCI例での認知症への進行リスクと痛みや手術成績との関連を明らかにすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例登録を開始し、現在まで8例で研究参加の承諾を得て、手術前の評価を完了している。MoCA-JによるMCIの評価、脳脊髄液バイオマーカーの測定は問題なく施行できた。目標症例数100例に向けて症例登録を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い症例登録を継続する。各計測、評価について問題なく施行できており継続する。
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Causes of Carryover |
症例ごとに検体を外注で検査する予算を組んでいたが、予定症例数より登録が少なかったために差額が生じた。症例登録を進めることで、研究期間全体で予定額を使用する計画である。
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