2021 Fiscal Year Research-status Report

The effects of icing on tissue oxygen tension in the acute phase and the effects of hyperbaric oxygen on regeneration in the injured soft tissue.

Research Project

Project/Area Number	20K09496
Research Institution	Tokyo Medical and Dental University
Principal Investigator	柳下和慶東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 准教授 (10359672)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	大原敏之東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (00793001) 小柳津卓哉東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60647709) 山本尚輝東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60808046) [Withdrawn] 星野傑東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (70836923) 塩田幹夫東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80817635) [Withdrawn]
Project Period (FY)	2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords	高気圧酸素治療 / 筋肉 / 筋再生 / 圧挫損傷 / アイシング / 温熱 / 酸素濃度測定
Outline of Annual Research Achievements	骨格筋圧挫損傷後にアイシング(0度×20分)・温熱療法(42度×20分)を施行した場合の腓腹筋温度変化と筋再生に与える影響を検討した。皮下温度変化に関して、アイシング群では施行後皮下温度約30度→約15度まで低下し、その後15分ほどで25度前後まで回復した。一方温熱療法群では施行5分で約30度→約38度まで上昇し、終了後5分で施行前に戻る結果だった。腫脹に関してはアイシング群では軽減した一方で温熱群では腫脹は広がる傾向であり、筋再生に関してはアイシング群で阻害される一方、温熱療法施行により筋再生が促進される結果が得られた。上記の結果を基に、骨格筋圧挫損傷後にアイシング・温熱療法を施行した際の筋内酸素濃度を測定し、さらにアイシング後に高気圧酸素治療(HBO)を1日1回、週5回施行した際の筋内酸素濃度測定や筋再生促進効果の評価を行うことで、アイシング・温熱療法、HBOが筋内酸素濃度と筋再生過程に与える影響を明らかにする研究を進めた。筋内酸素濃度に関して、アイシング施行により低下した一方で温熱療法では増加した。アイシング後にHBOを施行することで、損傷6時間以降も酸素濃度の上昇を認めた。筋再生に関して、損傷5日後の組織評価では、アイシングにHBOを追加することでアイシング単独群よりも有意に筋再生が促進された。温熱療法群でも未処置群と比較し有意に筋再生が促進された。これらの結果から。骨格筋圧座損傷後5日目の時点ではアイシング施行により筋内酸素濃度が低下し筋再生が阻害されること、温熱療法施行により腫脹が増加するものの筋内酸素濃度が昇し筋再生が促進されることが明らかとなった。またHBOの効果に関して、アイシング後にHBOを施行することで筋内酸素濃度が上昇し筋再生が促進されることが明らかとなった。今年度の補助金は凍結標本の作成やラットの購入費等にあてられた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 現在までに筋内酸素飽和度、HE染色による再生筋線維数の評価は筋損傷5日目、7日目までn=4で施行している。これまでの結果より骨格筋圧座損傷後にアイシングを施行しHBOを施行することでアイシングによる筋再生阻害効果を促進効果に変換することが可能であることが明らかとなっている。 2020年度に引き続き、COVID-19の影響で実験時間自体が大幅に削られた。さらにその後も断続的に実験制限などあり、当初予定していたnまで実験を行えておらず、また免疫染色や筋張力の評価、ELISAによるサイトカインなどの評価など時間を要する実験自体を施行する十分な時間がなかったため、進捗がやや遅れているのが現状である。
Strategy for Future Research Activity	現在までの研究結果により温熱療法では筋内酸素濃度、再生筋線維数が増加することが明らかとなった一方で、損傷後の腫脹は2日以上長引くことが確認された。そのため今後湿重量や腫脹、血管透過性の評価や腫脹により起こる疼痛の評価を行い、さらに高気圧酸素治療(HBO)を施行することでどのような変化が生じるか評価していく予定である。また、筋再生に関して、再生筋線維横断面積や成熟中の筋線維数・横断面積、筋張力を測定し筋再生過程の評価を行う予定である。さらに損傷7,14日後の線維化筋断面積を評価し線維化への影響の調査を検討している。・組織学的評価として、筋再生にはHIF1α、VEGF、IGF等の増殖促進因子や筋衛星細胞、マクロファージ等が関与していると言われており、我々は骨格筋圧座損傷後NO増加によりこれらの因子が増加し筋再生過程を促進することを過去の研究で明らかにしてきた。そのため今後HIF1α、VEGF、IGF等の蛋白をELISA法で、筋衛星細胞やマクロファージ数を免疫染色でカウントすることで、筋内酸素濃度上昇がこれらの筋再生過程に与える影響を経時的経過の中で定量化し、骨格筋圧座損傷後にアイシング、温熱療法を施行しHBOを施行することがもたらす効果に関して評価していきたいと考えている。
Causes of Carryover	2020年度に引き続き、COVID-19の影響で実験時間自体が大幅に削られた。さらにその後も断続的に実験制限などあり、当初予定していた数のラットを使用できなかった点、また免疫染色やその評価(様々な標本毎のカウントなど)時間を要する実験自体を施行する十分な時間がなく、抗体試薬を購入するに至らなかった点があげられる。またCOVID-19の影響で学会自体の開催縮小などあり、研究成果の発表を十分に行えなかった。最終年度は予定されていたラットの数をそろえ、抗体やELISAキット等を購入しさらなる研究を進める。また、酸素濃度測定装置を追加することで、筋内酸素濃度に関しても実験をすすめていく予定である。