2020 Fiscal Year Research-status Report
術中脊髄モニタリング波形解析による術後麻痺予防に向けた新たなアラームポイント策定
Project/Area Number |
20K09499
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 和克 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00706294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今釜 史郎 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40467288)
安藤 圭 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40566973)
中島 宏彰 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70710101)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄モニタリング / Tc-MEP / アラームポイント / 脊椎手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017-2018年度 日本脊椎脊髄病学会モニタリングワーキング委員会13施設でTc-MEPsを併用した高リスク脊椎手術949例を調査した。疾患の内訳は、髄内/髄外脊髄腫瘍:77例/254例、頸椎/胸椎OPLL:214例/59例、脊椎側弯症:345例であった。波形導出率はそれぞれQuad:75%・TA:88%・AH:95%で、そのうち術前MMT3以下の高度麻痺 (105例)をみとめた場合の波形導出率はそれぞれQuad:45%・TA:68%・AH:72%であった。手術開始時にいずれかの波形導出不良を認めたのは209例(22%)で、疾患別の発生率は髄内/髄外脊髄腫瘍:21%(16例)/25%(63例)、頸椎/胸椎OPLL:26%(55例)/39%(23例)、脊椎側弯症:15%(52例)であった。一方で全筋波形導出不良を認めたのは32例(3%)で、疾患別の発生率は髄内/髄外脊髄腫瘍:5%(4例)/3%(7例)、頸椎/胸椎OPLL:4%(8例)/19%(11例)、脊椎側弯症:1%(2例)と、いずれも胸椎OPLLで有意に高かった(p<0.05)。術前MMT3以下の高度麻痺をみとめた場合の全筋波形導出不良は30%(32例/105例)にみとめ、高位別の発生率は、頸椎15%(6例/39例)・胸椎61%(23例/38例)・胸腰椎13%(3例/24例)・腰椎0%(0例/4例)と胸椎で有意に多かった (p<0.01)。高リスク脊椎手術では術前麻痺を生じることも多く、手術開始時における波形導出率の低下がしばしば問題になる。Tc-MEPsによる遠位筋波形の導出有用性はこれまでにも報告されているが、本研究から術前にMMT3以下の筋力低下を有していても比較的高い導出率をみとめており、とくにAHの有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国多施設前向きデータを用いて、脊椎手術における脊髄モニタリング波形悪化の検討が行えた。とくに、Tc-MEPsによる遠位筋波形の導出有用性はこれまでにも報告されているが、本研究から術前にMMT3以下の筋力低下を有していても比較的高い導出率をみとめており、とくにAHの有用性が示唆された。筋毎の波形導出率はそれぞれQuad:75%・TA:88%・AH:95%であることを算出できており、現在までに徐々に目的達成にむけ進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
全国多施設前向きアンケートを引き続き行う。頭蓋刺激条件(刺激強度、刺激頻度)、手術麻酔環境(導入時・維持麻酔時の筋弛緩剤を含む麻酔薬量)を一定にすることにより、全施設での同一条件による検討が可能となる。2020年までの前向きデータによる調査・集計・解析を行い、新しいアラームポイントの策定を試みる。
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Causes of Carryover |
全国多施設前向きデータについては、コロナ禍による回収作業の遅れから、集計・解析を次年度に予定している。コロナ禍による学会中止・延期および参加形態の変更により、出張予定が大幅に変更になった。さらに、集計・解析に際しては情報収集にむけて人件費・印刷費なども必要とする。
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[Journal Article] Characteristics of cases with poor Tc-MEP baseline waveform derivation in spine surgery: A prospective multicenter study of the Monitoring Committee of the Japanese Society for Spine Surgery and Related Research2021
Author(s)
Kobayashi K, Imagama S, Ando K, Yoshida G, Ando M, Kawabata S, Yamada K, Kanchiku T, Fujiwara Y, Taniguchi S, Iwasaki H, Shigematsu H, Tadokoro N, Takahashi M, Wada K, Yamamoto N, Funaba M, Yasuda A, Ushirozako H, Hashimoto J, Morito S, Takatani N, Tani T, Matsuyama Y
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Journal Title
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[Journal Article] Efficacy of Intraoperative Intervention Following Transcranial Motor-evoked Potentials Alert During Posterior Decompression and Fusion Surgery for Thoracic Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament: A Prospective Multicenter Study of the Monitoring Committee of the Japanese Society for Spine Surgery and Related Research2021
Author(s)
Kobayashi K, Imagama S, Yoshida G, Ando M, Kawabata S, Yamada K, Kanchiku T, Fujiwara Y, Taniguchi S, Iwasaki H, Tadokoro N, Takahashi M, Wada K, Yamamoto N, Shigematsu H, Funaba M, Yasuda A, Ushirozako H, Tani T, Matsuyama Y.
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Journal Title
SPINE
Volume: 46
Pages: 268-276
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 高リスク脊椎手術におけるTc-MEPs波形導出不良例の検討2020
Author(s)
小林 和克, 今釜 史郎, 吉田 剛, 安藤 宗治, 谷口 愼一郎, 岩崎 博, 川端 茂徳, 山田 圭, 藤原 靖, 和田 簡一郎, 松山 幸弘
Organizer
第49回 日本脊椎脊髄病学会
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[Presentation] 胸髄腫瘍における腫瘍局在からみたBr(E)-MsEP波形の特性2020
Author(s)
小林 和克, 今釜 史郎, 安藤 圭, 中島 宏彰, 町野 正明, 両角 正義, 神原 俊輔, 伊藤 定之, 井上 太郎, 山口 英敏, 小清水 宏行, 石黒 直樹
Organizer
第49回 日本脊椎脊髄病学会