2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of next generation BNCT targeted to the tumor endothelial cell
Project/Area Number |
20K09517
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
畠山 真吾 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (10400136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 徹 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50587649)
大山 力 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80282135)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中性子補足療法 / 泌尿器癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の抗がん剤治療が抱える弱点は、細胞毒性の強い薬剤を全身投与する点にある。これら副作用を減らし高い抗腫瘍効果を得るためには高濃度の抗がん剤をがんのみに到達させる必要がある。私たちは、がんの腫瘍血管に選択的に結合するペプチド(IF7ペプチド)を世界に先駆けて開発し、抗がん剤との組み合わせによる腫瘍血管内皮細胞を標的とした治療効果を報告した。一方、ホウ素やガドリニウムを用いた中性子補足療法は高い効果が期待されているが、がん組織への低い特異性が解決すべき課題である。本研究では、IF7ペプチドを中性子補足療法に応用し、より低侵襲かつ高効果ながん治療法の開発を目指すことを目的としている。 まずはIF7とボロンを結合させた化合物IF7-BPAを作成し、これを用いて担がんマウスに投与し中性子補足療法の効果を確認中である。2回照射による効果を検討していたところ、BPA(10Bフェニルアラニン)単独を2回投与すると致死的になることがわかり、コントロール群の安全性について検討する必要があることがわかった。またガドリニウム錯体を用いた中性子補足療法のため、IF7とガドリニウム錯体をクロスリンカーで架橋し、157Gd-IF7化合物を作成した。それを用いて、青森県量子科学センター内の動物用MRIで集積を確認したが、ガドリニウム付加により尿排泄が亢進しており、腫瘍に集まる前に尿中排泄されていることが示唆された。化学構造変更も検討したが、技術的に容易ではないことが判明したため、ガドリニウムとの架橋は今後の検討課題とした。これとは別に、アブスコパル効果を狙い、免疫療法との組み合わせによる相補的効果増強を試みたところ、予想どおり有効性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まずはIF7とボロンを結合させた化合物IF7-BPAの抗腫瘍効果についてはおおむね順調に進んでいる。IF7とガドリニウム錯体をクロスリンカーで架橋し、157Gd-IF7化合物を作成し、動物用MRIで集積を確認したが、ガドリニウム付加により尿排泄が亢進しており、腫瘍に集まる前に尿中排泄されていることが示唆された。そのため、この実験系は更なる改善が必要であるが、免疫療法との組み合わせは予想される効果が見られた。今後は、化学構造を調整して体内動態を調整する必要があり、現在解決に向け検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もIF7-BPAの抗腫瘍効果と免疫療法との併用効果について検討を継続する。現在、投与回数や投与量の調整を行い、最適な条件を検討している。157Gd-IF7化合物は、ガドリニウム付加により尿排泄が亢進しており、腫瘍に集まる前に尿中排泄されていることが示唆されたため、化学構造を調整して体内動態を調整する必要がある。ペプチドの構造を変更し、問題解決に向け検討中である。
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