2022 Fiscal Year Annual Research Report
排尿筋低活動に対する人工知能を用いた診断法の開発と非侵襲的バイオマーカーの探索
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20K09523
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松川 宜久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30378145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20182636)
亀谷 由隆 名城大学, 理工学部, 准教授 (60361789)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 排尿筋低活動 / 人工知能 / オミックス / 低活動膀胱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までの研究で確立した尿流測定検査(UFM)を用いた人工知能(AI)による下部尿路機能診断システムについて、その判断根拠の可視化を目指した。AI診断の判断根拠はブラックボックスであるが、近年、その予測精度を高めることに加えて、公平性、説明責任、透明性などの価値が求められるようなっており、特に、医療診断のような問題発生時に影響が大きい業務では、利用者が理解できる形で機械学習モデルの判断における根拠を提示できることが必要となる。今回、Dynamaskの手法を用いて、UFMのどの因子が下部尿路機能診断の根拠となっているのか検討を行った。 その結果、UFMの波形(間欠的鋸歯状波形)に加えて、UFM波形の第一ピークまでにおける波形(具体的には、第一ピークにおける尿流率ならびに第一ピークの尿流率/最大尿流率が低いこと)が、排尿筋低活動(DU)の有意な因子であった。一方、台形型尿流波形、第一ピークの尿流率/最大尿流率の比が高いことは、膀胱出口部閉塞(BOO)を診断する有意な判断根拠であった。 一方、DU、BOOに対するバイオマーカの検索については、知覚低下をともなったDU症例において、尿中Ezrin、尿中Moesinの増加が観察され、また血中アディポネクチン、酸化ストレスマーカであるd-ROMが、DU症例は有意に低かった。これらのオミックス情報が今後の下部尿路機能障害診断に有用である可能性が見い出せた。 本研究における成果として、通常侵襲的検査を行わないと得られないBOO、DUの診断について、AI技術を用いて、非侵襲的検査であるUFMから、高い精度で診断可能なシステムを構築することができた。また今後の更なる検討を必要とするが、プロテオームやメタボロームなどで下部尿路機能障害を診断可能なことが示唆された。
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Research Products
(6 results)