2020 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアと疲労の関連に着目した高齢癌患者の治療指針となるバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
20K09524
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90240952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 洋祐 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40291033)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378452)
沖中 勇輝 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90780718)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 癌関連疲労 / サルコペニア / カヘキシア |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高齢癌患者が急速に増加しているが、老化に伴う身体機能の低下などにより治療の可否、治療法を決定するのに苦慮することが多い。高齢癌患者では、抗癌治療として、手術・抗癌薬物治療を行う上で、治療に耐えうることが可能か判断する必要があるが、高齢癌患者の全身状態の評価としては、サルコペニアなどの形態学的な評価および、フレイルなどの質問紙を用いた評価が検討されている程度であり、客観的なバイオマーカーは確立されていない。 本研究はサルコペニアと癌患者の多数に認める癌関連疲労(CRF)の関連に着目し、CRFに関連する分子に着目し、形態学的および自覚的な評価、臨床データと比較検討を行うことで、高齢者の個々の状態を適切に評価し、治療を決定する上での客観的なバイオマーカーの確立を目指すものである。 これまでに動物モデルにおいては免疫不全マウスに対しヒト繊維肉腫細胞株(HT1080)を担癌したところ、再現性良くサルコペニアの症状の一つである筋萎縮をきたすことを確認している。動物モデルにおいても、今後解析を進め、ヒトの結果と合わせ解析を進めていく予定である。 また、進行癌患者において、重篤なサルコペニアの状態である悪液質患者を対象とし「疲労感」の評価を疲労感に関連する問診票(FACIT-F)を用いて行ったところ、悪液質患者では有意に疲労感を感じていることを確かめた。またその患者において、血漿中サイトカイン測定を行ったところ、IL-6,IL-8,IL-10といった分子が有意に上昇していることを確認している。現在血漿中メタボローム 測定を予定しており、これまでに得た結果と合わせることで客観的評価可能なバイオマーカーの確立を目指しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに動物モデルに関しても免疫不全マウスに対するヒト繊維肉腫細胞株(HT1080)の担癌にてサルコペニアの状態を認めることを再現性良く確認できている。現在マウス血漿など含めた試料回収を進めており今後さらなる解析を進めていく。 また、癌性のサルコペニアと言える悪液質患者において、疲労感が強く惹起されていること、また非癌性疲労においても一部報告されている炎症性サイトカインの上昇を血漿中で確かめることができた。また患者試料に関しても現在順調に集めることができている。これまでに確認できた疲労に関連する結果をもとに今後さらなる検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルにおいて、現在癌に由来するサルコペニアの状態は再現良く確認することができている。今後マウス試料による解析およびマウスの週齢による違い、癌種による違いなどを確認していく予定である。その上で、動物モデルにおけるサルコペニアと癌関連疲労の関連性・関連分子を明らかとしていくことを目指す。 患者血漿を用いたメタボローム 解析を今後進めていく。その上で疲労感に関連する代謝物および代謝経路を明らかとすることで、臨床データ・疲労問診票の結果とともに解析を進めていく。 上記動物モデルおよび患者試料の結果を合わせることで客観的なバイオマーカーの確立を目指していく。
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Causes of Carryover |
本年度は実験を進めていく上での必要な物品の購入のみを行った。 今後試料解析など進めていく上での実験器具・解析を行っていく上での使用を計画している。
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