2020 Fiscal Year Research-status Report
鏡視下膀胱全摘除術後の特異的腫瘍再発に関連する腫瘍細胞の生化学的解析と術式の検討
Project/Area Number |
20K09533
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
白木 良一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70226330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 明 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 教授 (50212204)
住友 誠 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50255535)
高原 健 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (90418939)
全並 賢二 藤田医科大学, 医学部, 講師 (60440731)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 鏡視下手術 / 膀胱全摘除術 / 腫瘍制御 / 血中循環癌細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当科で施行されている筋層浸潤膀胱癌に対するロボット支援膀胱全摘除術(RARC)において、術後早期の再発例や、ORCでは通常経験しない特異な転移様式(皮下や遠隔転移等)が報告されている。本研究の目的はRARCの術後再発高リスク例の予見(開腹術の選択)と、術中手術操作を検討し術後再発リスクを低下できる術式の確立である。 研究の準備段階として、本研究では臨床検体を使用するため『藤田医科大学』のヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の承認を受け、臨床倫理規則に則って施行している。また、患者情報(遺伝子情報を含む)およびリストに関しても当院の倫理指針を遵守し保管している。 RARC手術の各ステップ(リンパ節郭清終了時、膀胱剥離操作終了時、膀胱全摘除終了時、尿路変更終了時)において、腹腔内の洗浄液や吸引管からの細胞等を個別に分けて回収し、これらrecovery した物質を遠沈処理により細胞成分を分離する。細胞成分に関しては固定し通常のパパニコロ染色により細胞診により、洗浄液中の悪性細胞の混入の有無をcheckしている。また、免疫組織学的染色、FISH、PCRを組み合わせて、EpCAM, CDK1, MDK, IGFBP5, HOXA13等の尿路上皮癌の再発転移に関与するmRNA発現を解析する。静脈血に関しても各段階で採取しCTCおよびcfDNA(cell-free DNA)等のリキッドバイオプシープロファイルについても解析する。CTC補足技術と免疫組織学的染色、FISH、PCRを組み合わせて、CTCの分子生物学的特性を把握することも準備段階にある。 併せて、手術症例の臨床情報、画像等並びに予後調査についてもデータベースを構築し、検査データとの相関を観る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RARCの保険適応もあり、当科に於けるRARC施行例数は順調に伸びており、2020年には24例を施行した。IRBの認可を受けた7月以降でも12例の症例より検体を収集している。これらの検体に関しては、腹腔内の洗浄液や吸引管からの細胞等を個別に分けて回収し、これらrecovery した物質を遠沈処理により細胞成分を分離する。各ステップ(リンパ節郭清終了時、膀胱剥離操作終了時、膀胱全摘除終了時、尿路変更終了時)において、細胞成分に関しては固定し通常のパパニコロ染色により細胞診により、洗浄液中の悪性細胞の混入の有無をcheckしている。また、免疫組織学的染色、FISH、PCRを組み合わせて、EpCAM, CDK1, MDK, IGFBP5, HOXA13等の尿路上皮癌の再発転移に関与するmRNA発現を解析する。静脈血に関しても各段階で採取しCTCおよびcfDNA(cell-free DNA)等のリキッドバイオプシープロファイルについても解析する。CTC補足技術と免疫組織学的染色、FISH、PCRを組み合わせて、CTCの分子生物学的解析に関しても準備段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
採取した検体から得られる病理学的並びに分子生物学的情報と臨床的な再発の有無、再発転移様式、時期等を解析する。これにより、得られる術後再発高リスク因子を同定する。RC適応症例に対しては内視鏡手術(TUR-BT;経尿道的膀胱腫瘍切除術)で得られる組織検体を分子腫瘍学的に解析し、再発高リスク例に関しては術前補助化学療法の導入と共に、気腹を伴わない開腹手術により、再発転移のリスクを低減する事に繋がる。また、RARCの各ステップに於けるCTC陽性率の変化やmRNA発現プロファイルを検討する事により、腫瘍再発の関与する可能性のある手術操作の問題点を検出し、その改良点に関しても考慮する。CTCの結果に関しては、術後の再発転移の超早期がんの発見にも期待でき、術後早期の化学療法や放射線治療などの補助治療導入の指標にもなる事が期待される。 今後、益々増加すると考えられるMIS-RCであるRARC手術に於いて、本研究の結果が癌制御の観点からも安全性の高い、そして術後再発のリスク低減を確保できる症例選択および術式の確立が可能となると期待される。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症等の社会状況等のため、予定よりも手術症例数が限定されたこと等により当初予定していた予算が次年度に繰り越される事となった。
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