2022 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌の循環腫瘍DNAによる変異プロファイル進化の解明と個別化医療への臨床応用
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20K09540
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 致之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90759557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 元秀 福島県立医科大学, 医学部, 特任教授 (40631015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 循環腫瘍DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、再度分子バーコードを使用した独自の血中循環腫瘍DNA変異パネルの構築を行うことに挑戦した。分子バーコードは低頻度変異とエラーを識別することが可能となり、より高精度な解析が可能となる。分子バーコードはアジレント社のSureSelect XT HSの利用を考えており、解析は同社のSurecallで行うことを予定していた。腎癌における変異発生頻度や重要性、遺伝子領域の広さを考慮してパネル設計を自身で行ったが、効率のよい設計に至らなかったため断念した。また、これまでに得られた血中遊離DNAのシークエンスデータならびに、自教室で保持しているシークエンスデータから、腎癌患者のclonal hematopoiesisの解析に挑戦した。解析には東京大学のスーパーコンピューターであるSHIROKANEを利用したが、良好な結果が現時点で得られておらず、引き続き別研究として解析継続予定である。 研究期間全体では、既存のGuardant360の循環腫瘍DNAの遺伝子変異パネルを用いて、薬物治療前の転移性腎癌患者13症例中11例で循環腫瘍DNAを同定した。遺伝子変異はVHLが6例と最も多く、次いでTP53が3例、METが2例、ATM、BRCA2、CDK12、EGFR、ERBB2、HNF1A、PTPN11が各1例ずつであった。また同一検体で、腎癌組織DNAの全エクソンシークエンスを実施した。組織シークエンスでは、VHL変異が64.3%と最も多く、次いでPBRM1が50.0%、BAP1が35.7%であり、既存の報告と同様の結果であった。さらに循環腫瘍DNA解析を行った14症例において、各遺伝子変異の一致率を検討した。VHL、TP53、MET遺伝子変異をそれぞれ9、2、2症例に認め、先に同定した循環腫瘍DNAとの変異一致率は55.6%、100%、50%であった。
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