2020 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌におけるエネルキー代謝異常とがん免疫回避機構の分子細胞学的な解析
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20K09546
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
釜井 隆男 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80316562)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / HLRCC / FH / SDH / Keap1 / Nrf2 / NGS |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の生命活動のエネルギー源であるTCA回路のメンバーであるFHやSDH経路と、抗酸化作用とエネルギー代謝に関係しているKeap1-Nrf2経路において、腎細胞癌が異常をきたしている場合に、免疫回避機構にどのような異常が認められるのか、その臨床病理学的側面を遺伝子レベルで検討した。 手術により摘出した組織を用い、次世代シークエンス(Next Generation Sequencing, NGS)法により癌組織でのFH・SDHおよびNrf2・Keap1遺伝子異常の検索を行った。また、免疫回避機構に関与しているPD-L1・制御性T細胞(Treg)・tumor-associated macrophages (TAMs) の遺伝子異常を検討した。さらに細胞が熱などのストレス条件下にさらされた際に発現が上昇して細胞を保護するタンパク質の一群である熱ショックタンパク質(Heat Shock Protein, HSP)の遺伝子異常についても検討を行った。Ion Ampliseq Designer を使用し、これら目的とする44種類の因子に対して684ampliconのprimerを作製し、multiprex PCRを行った。 摘出した組織よりQIAamp DNA mini kitを用いてDNAを抽出した。Invitrogen Qubit 4 Fluorometerを用い、抽出したDNAの濃度を正確に測定し、1ngの DNAを出発材料としIon AmpliSeq Library Kit 2.0を用いてライブラリーを作製した。テンプレート調製にはIon Chefシステムを用い、Ion GeneStudio S5 systemを使用しシーケンシングを行った。 変異検出は、Torrent Suiteソフトウェアまたは Ion Reporterソフ トウェアを用いて解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ion GeneStudio S5 systemを使用し、次世代シークエンス(NGS)を行うことにより、FH・SDH遺伝子およびNrf2・Keap1遺伝子とPD-L1・Treg・TAMs遺伝子、さらにHSP遺伝子を含め、44種類の目的因子について遺伝子異常を網羅的に解析することが可能であった。また、得られた結果をThermo Fisher Scientific社が提供するクラウドサービスであるIon Reporter ソフ トウェアを用いて解析 することにより詳細に検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
摘出した腎細胞癌組織を用い、組織よりタンパクを抽出し、western blotting法を用いてタンパクを検出する。腎細胞癌におけるFH・SDHおよびNrf2・Keap1タンパク発現量の半定量的解析を行い、腎細胞癌の発生と進行 への関与機序の解明を行う。さらに、免疫回避機構に関与しているPD-L1・Treg・TAMs)のタンパク質の発現レベルを検討する。これを基に、 1)個々の患者で得られたFH・SDHタンパクおよびNrf2・Keap1タンパクとPD-L1・Treg・TAMsの発現レベルとの相関、 2)1)でのデータと、異型度、pT stage、リンパ節転移や遠隔転移の有無等の腫瘍因子との相関について検討する。
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