2022 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌における脂肪由来幹細胞の役割の解明と新たな治療戦略の開発
Project/Area Number |
20K09553
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
沼倉 一幸 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (90566415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 英雄 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (10431785)
小林 瑞貴 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (20838627)
武藤 弓奈 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (60837706)
松峯 元 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80598144)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 脂肪由来幹細胞 / βカテニン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪由来幹細胞(A-MSC)は、脂肪細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞に分化する多能性を有することが確認された。腎細胞癌周囲脂肪由来幹細胞(RCC-MSC)は、ドナー腎周囲脂肪由来幹細胞(Donor-MSC)と比較して、Hes1、Hey1、TwistのmRNAが多く、β-cateninのタンパク質が多く、phospho-Akt (Ser473), phospho-p38 MAPKのタンパク質が少なかった。これらの結果から、RCC-MSCはDonor-MSCと比較して、幹細胞性が低下していることが示唆された。この知見は、アルデヒド脱水素酵素酵素活性(ALDH)アッセイでも、RCC-MSCはDonor-MSCに比べてALDH陽性細胞が少なかったことから確認された。次に、腎細胞癌(RCC)細胞株との共培養により、細胞機能の解析を行った。RCC-MSCを用いた場合、MSCを用いない場合に比べ、移動した腫瘍細胞の数が有意に多かった。RCC細胞株の分子経路のスクリーニングの結果、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)のmRNA発現量は、MSCを使用しない場合よりもRCC-MSCを使用した場合の方が高いことがわかった。RCC手術標本において、腎周囲間質組織のβカテニンのIHC染色では、腫瘍の攻撃性に関連する高い陽性スコアが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定より一年遅れて終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究では脂肪由来幹細胞の腎細胞癌に対する影響(浸潤能の亢進)は示すことができたが、両者を結びつける分子の解明には至らなかった。今後は、この道の分子の解明し、新規診断および治療の標的となるかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた実験用の試薬の納入がコロナウイルスの影響で遅れたため、繰り越さざるを得なかった。
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