2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K09557
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
宗 修平 浜松医科大学, 医学部, 特任講師 (30647607)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久 康春 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任研究員 (60378700)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 精子 / 精子形態 / 不妊治療 / 男性不妊症 / ナノスーツ法 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊症の原因の半数は男性にある。男性不妊症の診断に精子正常形態率は重要な評価方法であるが、数ナノメートルの精子形態の“正常さ”を定義するためには光学顕微鏡では分解能が低い。ナノスーツ法は、我々のグループによって開発された電子顕微鏡による生試料観察技術であり、従来の電子顕微鏡観察では必須であった化学固定や脱水・乾燥といった試料の前処理を必要としないため、生物個体を生きた状態のまま観察することができる。 本研究ではナノスーツ法を精子サンプルに対し最適化し、従来の試料作成方法(従来法)との比較解析を行った。従来法で調整した精子では頭部の大きさがナノスーツ法で調整した精子に比べて有意に収縮していることが明らかになった。また、多くの男性不妊症患者の精子の形態的の特徴づけを通して、本手法が精子形態異常の詳細な解析にも有用であることを確認した。 また我々は、観察時にSEM加速電圧を1kVから5kVまで段階的に上昇させると、ナノスーツ法の試料のみ、部域ごとに異なる二次電子像が確認できることを明らかにした。この結果は、精子頭部に電子密度が高い領域と低い領域が存在することを示唆する。 さらに、精子頭部の元素組成を解析した結果、炭素、酸素、リンが主要な成分として検出された。一方で、精子間におけるNaやClの検出量には差を認めた。 最後に、WGA、ConA、PNAレクチンの局在パターンについてナノスーツ法を用いて電子顕微鏡レベルで確認する方法の検討を行い、詳細な精子形態とレクチン結合部位を特徴付けに成功した。さらに我々はレクチンに標識されているAuもしくは増感剤のAgを元素分析により検出することで、これらのレクチン結合を定量的に評価する方法を確立した。
|
Research Products
(3 results)