2021 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤に伴う難治性勃起障害の新規治療ターゲットの探求
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20K09563
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片岡 智哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20737928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 和哲 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00423848)
前田 康博 藤田医科大学, 共同利用研究設備サポートセンター, 准教授 (60275146)
堀田 祐志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (90637563)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 勃起機能(ED) / 抗がん剤 / ビンクリスチン / ドキソルビシン / がんサバイバーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は世界に先駆けて、抗がん剤による男性性機能への影響を解明する研究プロジェクトを開始した。先行研究として、大規模副作用データベース(FEARS)解析により抗がん剤が勃起障害(ED)を引き起こすことを見出し、これらの抗がん剤をラットに投与するとEDを発症することを明らかにした。中でもDoxolubicin(DOX)とVincristine(VCR)では、休薬後もEDが遷延し、現時点では効果的な治療法を見出すことには至っていない。そこで本研究では、難治性EDを引き起こす抗がん剤(DOXおよびVCR)投与に伴う勃起機能低下のメカニズムを陰茎海綿体および海綿体神経への作用に着目して明らかすることで治療ターゲットに結び付け、予防策を構築することでがんサバイバーのQOL向上を目指す。 実験では抗がん剤の投与中および休薬後の陰茎海綿体と海綿体神経での変化を分子生物学的に検討し、障害発症メカニズムを明らかにすることで治療ターゲットを探索する。さらに、大規模データベース解析により導出した新規治療法の有効性を分子薬理学的手法により明らかにすることを目的とした。 4週間の抗がん剤投与後、4週間の休薬期間を設けてもこれらの勃起機能の改善効果は期待されなかった。一方、新規治療ターゲットとして検出された物質Xおよび同種同効薬YをVCR投与したラットに投与したところ、物質Xで有意な勃起機能の改善効果が見られた。また、リアルタイムPCR法により、物質Xによる効果を解析したところ、VEGFやMCP-1などの血管機能に関与する増殖因子の発現が増加することが明らかとなった。また、物質Xにより炎症反応を抑制することも明らかとなった。 一方、DOXを投与したラットに対して物質Zを投与したところ、有意な勃起機能改善効果が得られ、現在、その詳細なメカニズムを明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では抗がん剤による勃起障害の発症メカニズムを明らかにし、新規治療法の開発を試みている。新規治療法の探索を行うにあたり、当初は複数の因子の中から効果が期待される因子を抽出する作業に時間を有することが予想された。しかし、幸いなことに治療ターゲットとして見出した因子の中から早々に効果が期待される因子を2種類もピックアップすることができたため、おおむね順調に進展している。最終年度はそのメカニズムについて検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、ビンクリスチン投与による勃起障害に対して物質Xが有効である可能性が示唆された。さらに詳細なメカニズムの解明を目指したい。 また、障害の発症メカニズムから推測すると、物質Xはドセタキセル(DTX)に対しても有効である可能性が考えられる。そこで引き続き、物質XのDTXに対する効果を検討し、その作用メカニズムを明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
実験の進行具合により、一部の分析実験に関しては測定が次年度に測定する必要があり、2021年度中の使用額が減少したため、予算を次年度に繰り越す方が合理的であったため。
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