2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of utilization of iron in mitochondria of renal cell carcinoma and its clinical application
Project/Area Number |
20K09565
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中井 靖 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90445065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 清秀 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50264867)
三宅 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80601400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄 / 腎細胞癌 / ミトコンドリア / 5-アミノレブリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎細胞癌細胞株において、鉄投与により細胞増殖が促進され、5-アミノレブリン酸により抑制された。鉄投与により、ミトコンドリア内のFe2+の発現は強くなり、5-アミノレブリン酸により、ミトコンドリアないのFe2+の発現は抑えられた。さらに貯蔵鉄の発現は鉄投与により強くなり、5-アミノレブリン酸により発現が低下した。次に、腎細胞癌細胞株におけるヘム合成経路のフェロケラターゼをsiRNAで抑制し、ヘム合成経路を抑制したところ、5-アミノレブリン酸による、細胞増殖抑制、ミトコンドリア内のFe2+の発現抑制、貯蔵鉄の発現低下の効果が減弱された。また、細胞周期におけるS期の割合が5-アミノレブリン酸により増え、細胞増殖が抑えられていた。以上からヘム合成経路の鉄利用により5-アミノレブリン酸が細胞増殖を抑制することがin vivoで示された。アポトーシス、電子伝達系の変化に関しては、5-アミノレブリン酸投与では明らかではなかった。 鉄ニトリロ三酢酸を用いた腎細胞がんモデルにおける5-アミノレブリン酸による癌細胞増殖抑制を検討した。5-アミノレブリン酸投与により、腎細胞癌の腫瘍径が小さくなっており、PCNA(細胞増殖 S期)の発現が上昇し、フェリチンの発現が抑えられていた。このことから、in vivoにおいても、5-アミノレブリン酸による抗腫瘍効果が確認された。 以上より、5-アミノレブリン酸が腎細胞癌に対して、ヘム合成経路内の鉄利用を促進することで、細胞増殖を抑えることが示され、腎細胞癌に対する新たな治療の一つとして示された。
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