2020 Fiscal Year Research-status Report
中空マイクロカプセルを用いた雄性生殖細胞の培養および精子先体反応誘導に関する研究
Project/Area Number |
20K09584
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
荒木 泰行 群馬パース大学, 保健科学部, 講師 (70833383)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 雄性生殖細胞 / vero細胞 / アガロースカプセル / マイクロカプセル / 3次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、マイクロカプセル内にて極少数の細胞を増殖させられるかどうかについて、手始めに精子細胞の体外成熟培養に有効であったと報告のあるvero細胞を用いた検討を行った。マイクロカプセルは、現状作製できている外壁の材質がアガロースである内径35~50 umで外径50~60 umの中空カプセルを用いることとし、カプセル形状の検討は後回しとした。内径約10 um、外径約14 umで先端を鋭角に加工したガラスピペットを作製し、継代時のvero細胞を正確にカウントしながらピックアップして、アガロースカプセル内に注入した。注入した細胞数は、1個、5個、10個、20個の4群とし、αMEM+10 v/v% FBSの20 uLドロップ中でそれぞれ37℃、5%CO2環境下で培養を行った。結果、それぞれの群での増殖成功率は、56.7% (17/30)、96.7% (29/30)、93.3% (28/30)、96.7% (29/30)であり、培養開始時点の細胞数が5個以上であれば、アガロースカプセル内でもvero細胞を高率で増殖させられることが確認された。また、カプセル中空内を完全に満たすほど細胞が増殖するまでの期間は、培養開始時点の細胞数が多いほど短く、10個以上の群では1~2週間ほどでカプセル外部にあふれ出てくるものも散見された。 vero細胞は通常ディッシュ底面に接着して増殖する細胞であり、培養液のマイクロドロップ内に直接極少数の細胞を導入しても、増殖率が低いことを事前検討で経験していたため、本研究開始前は細胞が接着しないアガロースを材質としたスカプセル内では増殖してこないのではないかと考えていたが、予想に反して高率で増殖してきた。今回用いたカプセル内空は、直径が35~50 umと比較的小さな球形空間であるため、分裂した細胞同士がお互い支持細胞となって増殖率に寄与したのではないかと推察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はマイクロカプセルの材質や大きさをコントロールする検討から実施する計画を立てたが、手間や時間の関係で後回しにしている状況である。しかしながら、予定していた極少数のvero細胞をマイクロカプセル内で増殖させる試みについては、ある程度検討ができている。 また、計画した精子先体反応の検討も、現状では手を付けられていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、vero細胞の代わりに生殖細胞支持細胞をマイクロカプセル内で培養する検討へと進めたいと考えているが、現状ではマウスの飼育が不可のため、動物供給会社から凍結精巣組織を購入して用いることも検討しているが、コストがかかるため購入した組織を小分けにして少量で凍結する技術の検討も行う必要があるのかもしれない。もしくは、生殖細胞支持細胞で培養細胞株として樹立されているTM4等の使用も検討している。 いずれにしても、これらの生殖細胞支持細胞を極少数、正確にカウントしてマイクロカプセル内に導入して、増殖させられるかということと、その最適な条件はどんな環境かについて、詳細に検討を実施していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定したよりも高価な機材(冷却デジタルカメラおよび蛍光装置)の購入を計画しているため、次年度に繰り越した。
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