2022 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞レパトアを組入れた進行性腎細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害薬選択基準
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20K09585
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60383824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (20338180)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / レパトア解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 臨床コホートの解析 解析コホートとして、当院で転移性淡明細胞型腎細胞がんに対して薬物治療が施行された206例を用いた。206例のファーストおよびセカンドライン治療開始からの無増悪生存期間は75歳未満と75歳以上で差が認められなかったが、全生存期間(p=0.0082)および癌特異的生存期間(p=0.0095)は75歳以上で有意に短縮していた。ファーストライン終了後、セカンドライン/BSC移行したのは75歳未満群 72.9/21.4%に対して75歳以上群52.3/43.2%であり、高齢者腎細胞がん症例ではセカンドライン移行率の低さが全生存期間の短縮に関連していると考えられた。このことを学会(第35回日本老年泌尿器科学会)で報告した。 2.転移性腎細胞癌に対する薬物治療中のT細胞受容体レパトア変化の検討 院内の倫理委員会の承認を取得(承認番号2022-1011)したのち、転移性腎細胞癌に対して治療が行われた6症例の検体を用いてT細胞受容体多様性の変化を検討した。薬物療法が施行された5例において多様性指数を測定したところ、血管新生阻害薬単剤使用群(N=2)ではT細胞受容体α鎖およびT細胞受容体β鎖の多様性指数はいずれも治療開始1ヶ月後に低下していた。一方で血管新生阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用群(N=3)では多様性はいずれも治療開始1ヶ月後に上昇していた。コントロール群である緩和照射症例(N=1)ではT細胞受容体α鎖およびT細胞受容体β鎖の多様性指数はいずれも治療開始1ヶ月後に低下していた。免疫チェックポイント阻害薬の上乗せによってT細胞受容体α鎖およびT細胞受容体β鎖の多様性指数が増加する可能性が示唆された。
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