2023 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAの発現解析を用いた前立腺神経内分泌癌の発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K09586
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小島 聡子 帝京大学, 医学部, 客員准教授 (10345019)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / 神経内分泌癌 / IGFBP-3 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌は早期癌であれば根治治療が施されて長期の予後が得られるが、20年後には再発再発再燃する場合がある。前立腺癌は通常ホルモン感受性癌で、アンドロゲン除去療法(ホルモン療法)によく奏功する。しかし、治療を長期に続けるにつれてホルモン抵抗性の癌になる場合がある。転移性前立腺癌の予後は、治療開始からホルモン再燃癌(去勢抵抗性前立腺癌CRPC)になるまで2年程度であったが、近年、新規ホルモン療法薬や抗癌剤の適応により、3~5年と以前に比べて再燃までの期間が延長され、長期の予後が期待されるようになった。しかし、いずれの治療も奏功せず、2~3年以内に死亡する症例も少なからず存在する。癌の性質によっては抗癌剤を重点的に行うほうが良い場合もあるが、現時点での分子標的はアンドロゲンの他、BRCAと神経内分泌癌であり、後者に対する抗癌剤治療も治療効果には限界がある。 近年、マイクロRNA(microRNA)とよばれる19-23塩基の小さなRNAが発生・分化などの過程に多大な影響を及ぼす事が報告され注目されている。前立腺癌においても、癌抑制遺伝子として機能するマイクロRNAが癌の進行において重要な役割を果たしていることがわかってきた。 これまで我々はmiR-455-5pがPirin, IGFBP-3, LRP8などの癌抑制遺伝子の発現を抑制し、前立腺癌の増殖、浸潤を促すことを発見した。IGFBP-3は研究者がバンクーバーに留学中、研究していた分子で、前立腺癌細胞において去勢後発現が高まり、何らかの癌抑制機構を有する因子として注目していた分子である。今回の研究ではIGFBP-3の発現を進行性前立腺癌において免疫染色で調べ、発現の高いもので予後が悪いことが示された。去勢抵抗性前立腺癌になってからIGHFB-3の発現が強くなる傾向を認め、前立腺癌の進展に寄与する機構が示唆された。
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