2021 Fiscal Year Research-status Report
A treatment strategy for gastrointestinal development of premature infants: Administration of micelles derived from pulmonary surfactants and vernix caseosa in a pregnant animal model
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20K09595
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西島 浩二 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (80334837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺サーファクタント / 胎脂 / ミセル / 早産 / 壊死性腸炎 / 多光子イオン化飛行時間型質量分析法 / リポソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者はこれまで、羊水中に存在する肺サーファクタントと胎脂の体内動態を検討するために電子顕微鏡観察法を用いてきた。本法はミセル構造を高分解に観察できる優れた手法であるが、試料を真空化に置く必要があること、またミセル分子の動きをマクロな視点で追跡することが難しいこと等の欠点があった。多光子イオン化飛行時間型質量分析法(Multiphoton ionization time-of-flight mass spectrometry: MPI-TOFMS)は、一般に気体試料の測定に用いられる分析法であるが,福井大学工学部では以前より同法をエマルジョン試料の直接質量分析に応用してきた。本研究期間では、福井大学との共同研究により、MPI-TOFMSを用いた羊水中のミセル分子(肺サーファクタントと胎脂の複合体)の直接分析の可能性を検討した。 まずMPI-TOFMSを用いてリポソームの直接分析を試みた。検出物質としてフェノキシエタノールを内包したリポソームを作成し、MPI-TOFMSにより測定したところ、リポソーム内水相のフェノキシエタノールに由来するスパイク信号を検出することが出来た。TritonXによりリポソームを崩壊させるとスパイク信号が消失したことから、本法はリポソームの内包成分(≒リポソーム)の検出に有効であったと思われた。本研究を進めることで、MPI-TOFMSを用いた羊水中のミセル分子の直接検出が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福井大学工学部との共同研究により、多光子イオン化飛行時間型質量分析法(Multiphoton ionization time-of-flight mass spectrometry: MPI-TOFMS)を用いて羊水中に存在するミセル分子(肺サーファクタントと胎脂の複合体)の直接分析の可能性を検討した。コロナ禍の影響を受けて研究計画を変更せざるを得なかったが、修正した研究計画に沿って研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画書に従い、サーファクテンミセル溶液による壊死性腸炎予防効果のメカニズムを検討する。Guvenらの手法に倣い、ラット新生仔に負荷を加えて壊死性腸炎モデルを作成する。80匹のラット新生仔を出生直後に4群に振り分ける: NEC群(壊死性腸炎群); NEC+STA群(サーファクテンミセル溶液を投与した後に、壊死性腸炎負荷を加える群); control群(母ラットの授乳を自由に受ける群); control+STA群(母ラットの授乳を自由に受けながら、サーファクテンミセル溶液を1日3回投与する群)である。実験開始4日目に、4群全ての新生仔を安楽死させ、壊死性腸炎の肉眼的所見の有無を観察する。次に小腸を摘出し、組織学的検討と生化学的検討を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた試薬が購入できなかったため次年度使用額が生じたが、翌年度に同試薬を購入し実験を行う予定である。
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